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新たな趣味「ブラインドクライミング」との出会い

東京都 山ちゃん


 みなさんも似た経験はされているかと思いますが、目が不自由になるにつれて出来るスポーツにも制限が生じてきますよね。自称スポーツ万能?だった私も、徐々に出来るスポーツが減り、弱視レーンで泳ぐ水泳以外は、なかなか難しくなっていました。でも「何にも邪魔されず思い切り身体を動かしたい!」という思いはいつも感じていました・・・。

そんな時に出会ったのがブラインドクライミングでした。みなさんはご存じですか?岩を命ヅナ一本で登る、あの「ファイトー!イッパーツ!」の世界です。あの危険とも思えるスポーツが我々視覚障害者にも行えるんです!

最初のきっかけは今年のはじめ、アッシャー症候群の友達に誘われたことでした。「視覚障害者でもクライミングを安全に指導してくれる団体があるよ。楽しいから参加してみようよ」と誘われたのです。「岩に向かいあって登るのが、そんなに楽しいかなあ」と思っていたのですが、いざ登ってみるとこれが楽しい!!

プロのクライマーの指導のもと、20メートルはあろうかという自然の絶壁を一歩一歩自分を信じながら登っていきます。もちろん目は不自由なので、「二時の方向につかめる岩があるよ」などと指導してくれます。しかし登るにつれて、風の音で下からの応援はかき消されていきます。こうなると耳も頼りにはなりません。自分の手足で岩を良くさわり、自分を信じて一歩ずつ登るのみです。目よりも耳よりも手足の感覚を信じて、完全に自然と一体化した世界・・・。途中でくじけてロープで下ろしてもらうのも、最後まであきらめずに登り切るのもあなた次第です。私も途中で何度かあきらめかけたけれど、最後まで登り切ることができました。そこには例えようのない達成感と、うっすらと眼下に広がる大自然が待っていました!!そして下りたときに初めて、全身汗だく「ツユダク」状態の自分に気がつきました。

この達成感をふたたび味わいたくて、私もクライミングのとりこになりました。ブラインドクライミングは人と競うこともなく自分のペースで登れ、自分のレベルに合った岩を登ることができます。しかもプロの指導とロープに守られて安全に行うことができます。そして、日常生活では味わうことの出来ないような満足感を大自然の中で味わうことができるのです!!

翌日、日常生活の仕事の中でいつもと二つだけ違うことがあります、ひとつは「手に残っている細かい切り傷」、そしてもう一つは「久しぶりに体験した身体中の筋肉痛」。そう・・・みなさんが小さいころ、大自然の中を一日中遊び回った人だけに神様が与えてくれた、あの勲章・・・。

なんか体中が痛いのに、ちょっぴり嬉しい気分にさせてくれます。さあ!次回はどこにチャレンジしようかな!!


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