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第2回全国大会の報告

 5月29日に行なわれた全国大会では、アイヤ会顧問の岩崎先生を交えたシンポジウム、アイヤ会ブースでの相談コーナーが盛況に終わりました。私は、事情により欠席せざるを得なくなり、野村さん、片本さん、アシストホーン鈴木さんたちが当日の準備、運営等を進めていただきました。どうもありがとうございました。

 当日のシンポジウムでの岩崎先生の講演内容を以下に掲載します。


 JRPSの全国大会を愛知県で開催できたこと、おめでとうございます。スタッフの方々ご苦労様でした。アイヤ会で顧問をしています浜松医大耳鼻科医の岩崎と申します。今回はRPと聴覚障害についてお話しします。日頃、耳の聞こえない方を対象に話しをしていますが、今回は、目の疾患の方が対象ですので、慣れないところがあるかと思いますがご容赦下さい。網膜色素変性症に、難聴を伴う病気はいろいろあります。アッシャー症候群はその代表であります。網膜色素変性症の頻度は、世界で3000人から7000人に1人といわれています。 日本における、厚生労働省研究班全国調査では、日本では7000人に1人と報告されています。アッシャー症候群の頻度は、外国の報告をみると人口10万人に対し2.2〜6.2人とありますが、日本では、1978年の報告で10万人に対し0.6人と、日本では極端に少ないことになっていました。さらに、外国では網膜色素変性症の40%がアッシャー症候群という報告もあります。 1994年スミスらによって アッシャー症候群を症状から3つのタイプに分類しました。

タイプ1・・・先天性に難聴があり、目も早くから悪くなる。

タイプ2・・・難聴はあっても軽度難聴。高い音が聞こえにくい。聞き取りに、困らない。平衡機能もほぼ正常。めまいなども、あまり無い。

タイプ3・・・難聴が思春期か成人になってから出現し、進行する。体のバランスも、年を経て症状が出てくる。目もだんだん進行する。

タイプ2,3の方はなかなか耳鼻科に行かないため、実際にはRPに難聴を伴う方は日本でも多いのではないかと思い、2002年にJRPSのみなさんいの協力頂き、アンケート調査を行いました。今回はその結果を報告いたします。返答者834名、回収率26%でした。皆さんに送った往復ハガキの字が小さかったため、低い回収率になってしまいました。難聴・耳鳴りを自覚している方はRP患者の30%、めまいは40%と、想像より多い人が耳の自覚症状があり、驚きました。自覚症状がみられた年齢を検討すると、一番多いのは40代で、次が50代、その次が10歳以下の小児でした。どの年齢で自覚しても、その半数の方が難聴の進行を感じているようです。この結果も驚きました。 今回の調査で、タイプ2・3も多く存在する可能性が示唆されました。1978年の本邦における報告では、アッシャー症候群のタイプ1である小児を対象に調べたもので、実際は成人になってから自覚症状が出現される方もおられることから、日本も欧米同様の頻度でアッシャー症候群の方がいらっしゃると想像できます。今回の結果から、日本での頻度を計算したところ、アッシャー症候群は日本でも10万人に5人前後はいると思われました。

 以下、まとめますと、

1.日本におけるアッシャー症候群の頻度は、欧米と同様高い可能性がある。
2.軽い難聴の場合、自覚症状があっても耳鼻科を受診せず、聴力検査を受けていない傾向がある。
3.タイプ2,3のアッシャー症候群の認知度がまだ低いと思われる。
4.網膜色素変性症に難聴、めまいを伴う疾患は多く、症状だけでアッシャー症候群と診断することは難しい場合があり、今後遺伝子検査による診断が必要になるかもしれない。
以上


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