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●キーンズ・セイアー症候群

匿名希望


 1958年にKearnsとSayre が網膜色素変性症、外眼筋麻痺、および完全心房室のケースを持つ異常な症候群として報告した。1965年にKearnsが眼筋麻痺、網膜色素変性症、および心筋症によって9人の患者を報告した。ただし、ほかの特徴の難聴、低身長、脳波異常、著しく増大した髄液蛋白などの症状は患者間で一致しなかったという報告がある。1967年にはShyらが、レフサム病とハーラー症候群と似ているとして、進歩的な下垂症、外眼筋麻痺、網膜色素変性症、運動失調、動かない深部腱反射、高髄液蛋白などの症状を持つ21歳の女性患者の報告をした。キーンズ・セイアー症候群はさまざまなミトコンドリアの欠失またはミトコンドリアの細胞変性によって起こされる疾患である。現在、"Kearns syndrome"のキーワードで探索すると、"Kearns-Sayre syndrome"の文献と重複するものがあることから、キーンズ・セイアー症候群のほうが適切と判断した。実際、1965年に症例をまとめて、Kearns-Sayre症候群として発表したという報告がある。同じく、"Kearns-Shy syndrome"(キーンズ・シャイ症候群)も検索するとヒットするが、検索した内容からキーンズ・セイアー症候群のほうが妥当と判断した。(Kearns-Shy syndromeはなぜか日本の報告が多い。)また、"Kearns-Sayre syndrome"はカーンズ・セイヤ症候群と訳しても間違いではない。(筆者の翻訳ソフトのひとつはカーンズ・セイヤ症候群と訳す)文献を分析すると、ミトコンドリアの欠失と眼筋麻痺、網膜色素変性症、および心筋症と特徴付けられるが、難聴および聴力損失の報告と網膜色素変性症の報告はそれぞれ断片的に報告されており、具体的にRPと難聴が合併したという患者の報告例は極めて少ない。(ほとんどない)ただし、海外の一般のウェブではRPと難聴の症状を示唆するページは多い。筆者は文献の報告を重視したが、可能性については客観的データが乏しいと言わざるを得ない。特に聴覚障害については主観的な表現になるが、伴う可能性は低いのではないかと思う。

参考文献:
 #530000 KEARNS-SAYRE SYNDROME; KSS
 その他


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