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●サンフィリポ症候群

匿名希望


サンフィリポ症候群(Sanfilippo syndrome)は、ヘパラン硫酸の蓄積によって特徴付けられている常染色体劣性の遺伝形式をとるリソソーム蓄積症である。MPS(mucopolysaccharidosis)と呼ばれている遺伝性ムコ多糖代謝異常の病気のグループに分類されているか、またはMPSである。サンフィリポ症候群はまたMPS III として知られている。MPSに特徴的な粗野な顔貌の異常は軽症なこと、骨格異常などの身体的症状は比較的穏やかであることから臨床的にサンフィリポ症候群と診断するにはしばしば困難である。結果として診断の遅れにつながるケースも多い。
サンフィリポ症候群は厳しい神経症状によって特徴付けられ、これらは進行性認知症と乱暴な行動、あるいは活動過剰の行動上の問題が含まれている。また、再発呼吸器官感染症や発作、下痢の症状も見られる。身体的症状はほかのMPSと比べ、軽いとされているが筆者が調べた文献では臨床の深刻さは厳しい場合もあって、幅が広く、身体的症状は必ずしも軽症とは限らないようだ。身長は10歳くらいでとまるという文献もあり、成長障害を伴う。また、いくらかの難聴という表現だが伴ったという報告例もある。眼疾患については報告例もあるが記載例は少ない。そのほか、睡眠障害、肝腫脹、痙攣を成長と共に伴う。発症年齢は、文献によって1〜3歳という説明もあるが2〜6歳頃の間に発症する。生存期間は文献によって異なり、30歳以上生存した報告例もあれば20歳代くらいまで亡くなるという文献もあるが、平均的な寿命は発症から8〜10年くらいである。
MPS IIIであるサンフィリポ症候群は欠損酵素の相違によって、A型〜D型の4つの亜型に分類され、それらはSanfilippo A、Sanfilippo B、Sanfilippo C、Sanfilippo D または、MPS type IIIA、MPS IIIA、MPS3A〜MPS type IIID、MPS IIID、MPS3Dというように文献によって表記は異なるが4つの型に分類される。いずれの亜型も症状は似通っているがこの中にあってMPS III Aがもっとも厳しい。すべての亜型を含めたサンフィリポ症候群の発症頻度は1/7000という報告がある。

補足:
現在、MPS はMPS-VとMPS-VIIIを除く、MPS I、MPS II、MPS III、MPS IV、MPS VI、MPS VII、MPS IXの7種類の別個の臨床のタイプと多くの亜型のムコ多糖症が識別されているが、サンフィリポ症候群はMPS IIIに分類されている。なお、MPS-VとMPS-VIIIはどのような疾患のためにも現在、使われていない。

※参考:A型〜D型と欠損酵素および変異した遺伝子がマッピングする遺伝子座
Sanfilippo A型(heparan N-sulfatase変異)17q25.3
Sanfilippo B型(N-acetyl-α-D-glucosaminidase欠損)17q21
Sanfilippo C型(acetyl-CoA:α-glucosaminide acetyltransferase欠損)8p11.1
Sanfilippo D型(N-acetylglucosamine-6- sulfatase 欠損)12q14

※キーワードを使ったサーチ件数(サーチ日2008/02/16)
"Sanfilippo syndrome" ヒット件数結果 約27,800件

参考文献:
#252920 MUCOPOLYSACCHARIDOSIS TYPE IIIBほか多数


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