障害者自立支援法Q&A


 平成18年4月1日から始まる障害者自立支援法について、各地で説明会が行われていますが、このたび質問項目を作成し回答を市原市役所障害福祉課にお願いしました。
 「市原市の場合」ということで回答をいただいた項目もあります。皆さまの市町村と比較していただき、少しでも障害者自立支援法について理解を深めていただけたらと思います。
 なお質問項目については、会員の佐々木貞子さまからアドバイスをいただきました。(広瀬 富美子)


Q:障害者自立支援制度はどのようなものですか?
A:これまでは、「身体障がい」・「知的障がい」・「精神障がい」といった障がいの種類や年齢により受けられる福祉サービスの内容などが決められていましたが、平成18年4月からは障害者自立支援法の施行によって、どの障がいの人も共通のサービスを地域において受けられるようにしていく制度です。

Q:障害者自立支援制度を利用して、サービスを受けられる人は、どのような人ですか?
A:@身体障がい者(身体障害者手帳所持者)
  A知的障がい者(療育手帳所持者、児童相談所または知的障害者更生相談所にて 知的障害があると判定された者)
  B精神障がい者(精神障害者保健福祉手帳所持者、統合失調症、精神作用物質に よる急性中毒またはその依存症、精神病質その他の精神疾患を有する者)
  C障がい児(上記の3障害で18歳未満の児童)

Q:障害者自立支援制度を利用して、サービスを受けたいのですが、手続きはどこへ申請すればよいのですか?
A:市役所2階の障害福祉課です。平成18年10月からは、新たに県が指定する相談支援事業所も相談申請窓口になります。

Q:障がいの程度により受けられるサービスは違うのですか?
A:平成18年10月以降のサービス利用分からは、認定審査会による障害程度区分によって、利用可能となるサービスの種類や量が異なってきます。なお、9月までは、これまでのサービスの種類・支給量は継続して利用できます。

Q:4月1日から始まる障害者自立支援法と今までの支援費制度とは、どこが違うのですか?
A:大きな違いは、下表のとおりです。
  支援費制度 障害者自立支援法
対象となる人 身体障がい者・知的障がい者・障がい児 身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者・障がい児
利用者負担 収入に応じて 原則1割(軽減措置あり)
サービス量の認定方法 調査および担当課での会議を経て市長が決定する。(必要なサービス支給量を判断するための全国的な統一基準なし) 調査を元に全国統一基準のコンピューターによる「1次判定」および外部の専門委員で構成される認定審査会による「2次判定」(1次判定結果・主治医の診断書により)にて障害程度区分を決め、それを参考に必要なサービス支給量を市長が決定する。

Q:これまでは、世帯の所得状況に応じて利用者負担をしておりましたが、新しく改正になったら一割負担と言われていますが、一ヶ月に支払う上限はありますか?
A:原則として、費用の一割負担ですが、世帯の所得状況に応じて下表のとおり、四つの区分に分けられ、それぞれに負担の上限月額が決められています。
区分 対象となる人 上限月額
生活保護 生活保護世帯の人 0円(自己負担なし)
低所得1 市民税非課税世帯で、障害者または障害児の保護者の年収が80万円以下の人 15,000円
低所得2 市民税非課税世帯で、低所得1に該当しない人 24,600円
一般 市民税(所得割)課税世帯の人 37,200円

Q:医療費助成も一割負担になるのですか?
A:これまで身体障害者福祉法で提供されていた更生医療(人工透析・腎臓移植・間接手術・心臓手術等が対象)は自立支援医療として障害者自立支援法の中に規定されますが、「重度心身障害者医療費助成制度」(保険診療分の自己負担を還付)は、障害者自立支援法の対象制度ではありませんので、これまでどおりです。

Q:補装具・日常生活用具も一割負担になるのですか?
A:補装具は、他の障がい福祉サービスと同様に原則として一割負担となります(ただし、質問6における回答と同様に低所得者に配慮した上限月額が設定されます)。
 日常生活用具は、平成18年10月から障害者自立支援法の「地域生活支援事業の中に組み入れられ、利用者負担は各自治体で決めることになっていますので、今後、他市の状況・他制度とのバランス等に配慮しながら検討してまいります。

Q:視覚障害者の受けているサービスで、一時間利用した場合、利用者が支払う金額はいくらになるのでしょうか?
1.移動介護 2.身体介護 3.家事援助 4.デイサービス 5.その他
A:平成18年4月以降の単価は国で設定しますが、現状では決定しておらず、最終的には3月27日ぐらいに確定の予定とされております。よって、案の内容で回答しますので、取り扱いには十分ご注意ください。
 なお、いずれもサービス提供場所は、市原市内とし、時間帯による加算が無い場 合の額です。
 1.支援費制度で提供してきた移動介護は、4月からは、内容はこれまでの移動介護と同じですが、「外出介護」というサービス区分になり、1時間あたりの利用者負担は、150円の予定です。
 ただし、この額は身体的な介護を伴わない場合の単価です(介護中に排泄介助などの身体介護が必要となる場合など身体介護を伴う場合は、400円となります)。なお、10月以降は、外出介護は「地域生活支援事業」に変更となり、実施方法や利用者が支払う金額は市町村で決定することとなりますが、現段階では市原市としての方針は未だ決定していません。また、支援費制度でなく、市の単独事業である「盲人ガイドヘルパー派遣事業」の利用者負担は4月からも無料ですが、10月以降の実施方法・利用者負担等につきましては、今後検討してまいります。
 2.身体介護の利用者負担は、1時間あたり400円です。
 3.家事援助の利用者負担は、1時間あたり150円です。
 4.デイサービスの利用者負担は、491円です(市原市福祉会館を6時間以上利用した場合の1日あたりの額)。
 5.手話通訳者派遣については、10月以降は「地域生活支援事業」となり、実施方法や利用者が支払う金額は市町村で決定することとなりますが、市原市では現在検討中です。

Q:病院までガイドしていただくと身体介護になると聴いていますが、視覚障害者の場合は、買物などでガイドしていただくことと変わらないと思うのですが、身体介護になるのですか?
A:支援費制度による基準では、通院のための介助は原則として身体介護とされています。

Q:新たなサービスの提供やそのほかの制度は10月から始まるそうですが、どのようなサービスや、制度が始まるのですか?
A:平成18年10月から、補装具交付(修理含む)に対する原則一割負担導入や、移動介護・日常生活用具・地域活動支援センター(これまでのデイサービスなど)等が、新たな枠組みの「地域生活支援事業」として始まります。

Q:福祉サービスを受けた費用の支払は、何時、誰に支払うのですか。金融機関からの自動引き落としはできますか?
A:福祉サービスを利用した際に、事業者に支払います。金融機関からの自動引き落としができるかどうかについては、それぞれのサービス利用先である事業者によって異なりますので、直接お問い合わせください。

Q:自立支援法は就労支援に力点を置いていると聞きますが、具体的にどのような施策があるのですか?
A:障害者自立支援法は、これまで以上に「就労」に重点を置いた施策が下記のとおり用意されています。
就労移行支援事業: 一般就労を希望し、一定期間にわたって知識・能力の向上や企業等とのマッチングを図ることにより、一般就労が見込まれる人に対して、必要な訓練を実施します。
就労継続支援事業: 就労移行支援事業等を利用したが、一般就労に結びつかなかった人や一定年齢に達した人等に福祉的就労の機会を提供して、生産活動にかかる知識および能力の向上や維持を図る。
 以上の2事業の他にも、地域生活支援事業の中で、市の福祉作業所や民間による小規模福祉作業所等に対してその活動をこれまで以上に支援していく内容となっています。

Q:市原市には、「盲人ガイドヘルパーの派遣」制度がありますが、この制度は残るのでしょうか? また、利用料金は?
A:これまでの支援費制度(応能負担)の「移動介護」を利用している視覚障がい者が多数います。この「移動介護」は平成18年10月からは、障害者自立支援法(原則1割負担)の「地域生活支援事業」の中に組み入れられます。市の単独事業である「盲人ガイドヘルパー派遣事業」は利用者負担がありません。同様のサービス提供を受けながら利用者負担が異なるという矛盾を解消するため、今後、制度の廃止も含めて検討してまいります。

Q:今後は、介護保険と同様な介護認定調査を受けなければならないと聞きましたが、どのように行われるのですか?
A:障がい者の場合は、障害程度区分を認定するための調査を受ける必要があります。
 この障害程度区分は、障がい者が日常生活を送る上でどのくらい介護、家事援助、行動援護等の支援に時間を要するのか、障がい者の心身の状態を総合的に表すものとされています。
 認定にあたっては、認定調査員が本人や保護者等と面接し、106項目について聞き取り等による調査を行います。
 このとき、調査員が判断に迷うような場合に、回数や頻度等の具体的な状況などについて「特記事項」を記載します。
 障害程度区分は、この調査結果を基に全国共通の基準によるコンピューターの一次判定を行い、これに医師の意見書と調査員の特記事項を踏まえて、審査会で二次判定を行い、最終的な障害程度区分を決定することになります。
 なお、この認定を受ける必要があるのは、ホームヘルパーの利用や施設等での入浴や食事の介護、短期入所を利用する場合(これを「介護給付」という。)および施設において自立訓練や就労のための訓練を受ける場合(これを「訓練等給付」という)に限られ、これ以外のサービスを受ける場合には必要ありません。

Q:介護認定その他に不服があるときは、どうしたら良いのですか?
A:都道府県知事に対して、不服申し立てを行うことができます。
 都道府県では、専門的な立場から審査判定の適否等を迅速に判断するため不服審査会を設置することができるとされています。
 なお、この不服申し立て先は都道府県知事となりますが、決定についての疑問等は第一義的には結果を通知した市町村が対応することとなります。

※市原市は、日常生活用具に「視覚障害者用ポータブルレコーダー」(商品名:プレクストークを含む)が給付の対象になっていませんでした。障害者自立支援法Q&Aの原稿をお願いに行った際、日常生活用具の給付品目に入れていただきたくお願いしてみました。
皆さまの市町村では、日常生活用具の給付品目に入っていますか?
回答:たいへんお待たせして申し訳ありませんでした。ようやく市の規則の改正手続きが終了しましたので、4月から、日常生活用具の給付品目として、「視覚障害者用ポータブルレコーダー」(商品名:プレクストークを含む)が給付できるようになりました。
基準額は、録音再生機85,000円、再生専用機35,000円です。なお、この品目は盲人用テープレコーダーが廃止された代わりに給付されるものなので、以前に盲人用テープレコーダーの給付を受けてから2年以上経過している方が申請対象者となりますのでご了承ください。


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