障害年金制度と障害年金の受給までの流れ


★障害年金の趣旨と仕組み
 年金加入中に発生した病気やケガのため、日常生活に支障が出るようになり、また十分 に働けない状態となることにより本人の所得がなくなったり減少することが考えられます。 障害年金は、このような所得の減少に対する保障とその家族の生活安定をはかるために支 給される年金制度です。
 障害年金も、基本的には2階建て構造になっており、国民年金から支給される「障害基 礎年金」は、自営業者、民間サラリーマン、公務員、主婦などすべての人を対象にしてお り、1級障害と2級障害があります。
 一方、「障害厚生年金」は民間のサラリーマン、OL、「障害共済年金」は公務員を対象 にした上乗せ年金になっており、受けられる年金には、1級、2級、3級及び一時金とし て、障害手当金があり、障害の程度によって決められます。
 つまり、厚生年金加入者が1、2級に該当したときは、国民年金から「障害基礎年金」、 厚生年金から「障害厚生年金」の2つが支給されます。

★障害年金制度と障害年金の受給までの流れ
 障害年金制度と障害年金の受給までの流れを、社会保険庁のホームページ、障害年金サ ポートセンター(了解をいただきました)のホームページから調べてみました。詳細につ きましては、最寄りの機関にお尋ねください。

= 社会保険庁のホームページより =
【障害年金制度】
初診日がいつで、そのときどの年金に加入していたかにより障害年金の種類が決まりま す。
1、国民年金(障害基礎年金)
(1)支給要件
 @保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上ある者の障害
 A20歳未満のときに初めて医師の診療を受けた者が、障害の状態にあって20歳に達
 したとき、または20歳に達した後に障害の状態となったとき
(2)障害認定時
 初めて医師の診療を受けたときから、1年6ヶ月経過したとき(その間に治った場合は
 治ったとき)に障害の状態にあるか、または65歳に達するまでの間に障害の状態と
 なったとき
(3)年金額(平成18年度)
 【1級】 792,100円×1.25+子の加算
 【2級】 792,100円+子の加算
    子の加算
     第1子・第2子  各 227,900円
     第3子以降     各 75,900円
  ※子とは次の者に限る
 @18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
 A20歳未満で障害等級1級または2級の障害者
(4)障害等級の例
 @1級・・・両眼の矯正視力の和が0.04以下のもの
 A2級・・・両眼の矯正視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2、厚生年金保険(障害厚生年金)
(1)支給要件
 加入期間中に初めて医師の診療を受けた傷病による障害。ただし、障害基礎年金の支給
 要件を満たしている者であること
(2)障害認定時
 障害基礎年金と同じ
(3)年金額(平成18年度)
 @1級・・・(報酬比例の年金額)×1.25+配偶者の加給年金額
       (227,900円)
 A2級・・・(報酬比例の年金額)+配偶者の加給年金額(227,900円)
 B3級・・・(報酬比例の年金額)※最低保障額 594,200円
(4)障害等級の例
 @1級・・・障害基礎年金と同じ
 A2級・・・障害基礎年金と同じ
 B3級・・・両眼の矯正視力が0.1以下のもの
 C障害手当金・・・障害年金用語参照
3、障害共済年金
   共済組合事務局に問い合わせてください

= 障害年金サポートセンターホームページより =
【障害年金の受給までの流れ】
障害年金を受給するためには、受給資格を確認し必要書類をそろえて請求することになり ますが、請求手続きの流れとポイントについてまとめてみました。
1.はじめに障害年金の受給資格があるか確認
(1)受給するための4条件
  @初診日時点で年金に加入していること
  20才以上60歳までの方は、初診時に国民年金、厚生年金、共済組合に加入してい
  なければ請求できません
  A保険料を一定期間払っていること
  B障害の等級に該当する程度の状態である
  C65歳までに年金請求すること
2.相談
(1)社会保険事務所、共済組合事務局
(2)市町村役場の年金係
(3)民間の障害年金相談センター
(4)医師、ただし医師にお願いすることは、診断書の作成または初診日の証明を的確に
  記入してもらうことです。
(5)ケースワーカー・医療ソーシャルワーカー
3.書類の入手
(1)障害年金を請求する資格(資格要件)があるかを確認する。
  障害年金を請求するためには保険料納付要件を満たしていなければ請求できませんが、
  これらの保険料納付要件の資格があるかどうかは、社会保険事務所の窓口に出向き調
  べてもらいます。ただし、初診日に国民年金(第1号被保険者)加入している方は居
  住地の市区町村役場の年金係りで調べてもらえます。
(2)障害年金を請求するのに必要な書類を役所でもらう。
  年金加入要件や保険料納付要件を満たしていることが分かったら、社会保険事務所
  (あるいは居住地の市区町村役場)の窓口で次の書類をもらいます。
  @障害給付裁定請求書
  障害基礎年金請求用と障害基礎年金・障害厚生年金請求用との2種類があります。
  初診日が共済組合の場合は、請求用紙は異なります。
  A診断書
  傷病により診断書の用紙は8種類ありますので傷病名を言ってもらって下さい。
  B受診状況等証明書
  医療機関が2つ以上あるときに最初の医療機関で初診日の証明を受けるためもらい
  ます。
  C病歴・就労状況等申立書
  発病日から請求時点までの治療経過や日常生活能力等を記述するためもらいます。
4.診断書の作成
(1)初診日の証明を医師に依頼する。
  請求する傷病について、複数の医療機関を受診している場合は初診日証明が必要とな
  りますので、1番最初に受診した医療機関に出向き「受診状況等証明書」の作成を医
  師に依頼します。
(2)診断書の作成を医師に依頼する。
  「受診状況等証明書」ができあがったら「診断書」の作成を医師に依頼します。
  依頼する「診断書」の枚数および作成の年月は次の通りです。
  @障害認定日から1年以内に申請の場合
  障害認定日から3ヶ月以内の症状で作成された診断書1枚
  A障害認定日から1年を経過してから申請の場合
  障害認定日から3ヶ月以内の症状で作成されたものと請求時点の3ヶ月以内に作成
  された診断書の2枚
  B事後重症による請求の場合(※障害年金用語参照)
  請求時点3ヶ月以内の症状で作成された診断書1枚
  C初めて2級の請求で2つの傷病がある場合
  請求以前3ヶ月以内の症状で作成された診断書2枚
(3)作成された診断書の記載内容を点検する。
5.申立書の作成
(1)病歴・就労状況等申立書を作成する。
  診断書を受け取ったら「病歴・就労状況等申立書」は作成しますが、発病から初診日
  までの経過、その後の受診状況、治療経過、医師の指示事項、症状、労働や日常生活
  の状況等を具体的に記入します。
(2)裁定請求書提出の際に必要な書類を揃える。
  医師から作成した診断書をもらい、「病歴・就労状況等申立書」の記入が完了したら、
  障害年金の裁定請求書に添付する書類を揃えます。
   ア 戸籍謄本(請求の3ヶ月以内に発行されたもの)
   イ 診断書(傷病によってレントゲンが必要なときがあります)
   ウ 病歴・就労状況等申立書
   エ 年金手帳(基礎年金番号通知書)、被保険者証
   オ 既に年金を受給しているときは年金証書
   カ 普通預金通帳または郵便貯金通帳
   キ 認印
  障害厚生年金や障害共済年金を請求する場合には、次の書類もあわせて揃えます。
  @配偶者や子がいるときは住民票(請求の3ヶ月以内に発行された家族全員のもの)
  A配偶者がいるときは所得証明書および配偶者の年金手帳(基礎年金番号通知書)、
  被保険者証
  B高校生がいるときは学生証等
  C20歳未満の障害者の子がいるときは診断書
  D配偶者が年金を受給しているときは年金証書
(3)病歴・就労状況等申立書の書き方のポイント
  障害年金を受給するためには障害等級が認定されなければなりませんが、認定する際
  の判断資料となるものは医師が作成した診断書とともに、請求者が記述した「病歴・
  就労状況等申立書」です。「病歴・就労状況等申立書」は、請求者にとり決しておろ
  そかにできないものであるにもかかわらず、書類の記入方法について十分吟味せず、
  記入している方が多いのが現状です。そのため、年金が不支給に決定されたとか認定
  された等級が考えていた等級と異なることが良くあります。「病歴・就労状況等申立
  書」は、事実を正確に記入し、就労が困難な状況を正しく伝える事が必要です。
6.請求書の作成
(1)裁定請求書を作成する
(2)裁定請求書を役所に提出する
  提出箇所は初診日に加入していた年金により次の箇所に提出します。
  (傷病の初診日が厚生年金保険の場合)
   最後に勤務していた事業所を管轄する社会保険事務所
  (傷病の初診日が国民年金の第3号被保険者の場合)
   住所を管轄する社会保険事務所
  (傷病の初診日が国民年金の第1号被保険者の場合)
   住所地の市区町村役場の年金係
  (傷病の初診日が各種共済組合)
   各種共済組合の支部に出向くか郵送で書類を提出します。
7.不受理の場合の対処法
(1)受給要件が満たされていないとき
  年金加入要件、保険料納付要件が満たされない場合は請求そのものが出来ません。
(2)症状が軽いから受理できないと言われたとき
  障害年金が受給できるかどうかは、審査結果によります。窓口の担当者は請求書類が
  全て正しく整っているかを確かめるところで審査を行う所ではありません。役所にお
  いて「裁定請求書」を不受理にすることはできません。
(3)初診証明が添付されてない場合
  2箇所以上の医療機関を受診している場合は、最初の病院の初診日証明をつけなけれ
  ばなりませんが、それがついていないときは受付されません。とれない場合は診察券、
  健康診断書の写しなどを添付して「初診証明が添付できない理由書」を提出します。
(4)診断書の現症年月日が3ヶ月を経過して提出した場合
  障害認定日、事後重症の請求をするときの「診断書」は、障害認定日から3ヶ月以内
  の症状または事後重症の請求日前3ヶ月以内の症状で記載されたものとなっていま
  す。
(5)「診断書」の提出枚数の不足や記載事項の不備や記入漏れがあるとき
  「診断書」は障害認定するための基本となる書類です。診断書の提出枚数が足らない
   ときや、診断書の記載漏れや不備等があるときは追記または修正を依頼します。
(6)裁定請求用紙等の記載事項の記入漏れがあるとき
  「裁定請求書」や「申立書」については、請求者自らが記載することになりますが、
  記載漏れがあると審査出来ないとか不利な決定をすることになります。したがって、
  記載漏れがあると指摘されたときは、指摘事項のすべてを記入して再提出します。
(7)添付資料の不足や期限切れ書類を提出したとき
  障害年金を請求するために定められた書類は添付しなければ、年金が支給されないと
  か不利な決定になります。したがって、添付資料の不足している場合や証明書の期限
  切れ書類は早急にそろえ直して再請求するといいでしょう。尚、添付することが何ら
  かの理由で難しい場合は窓口担当者によく相談して対処しましょう。
(8)障害年金の請求期限が過ぎているとき
  障害年金は、請求が遅れてしまい請求年齢オーバー(65歳をこえた等)になったと
  きや時効(障害の未支給請求等)を経過したことにより受けられない場合が出てきま
  す。この場合は不受理となります。
8.判定
 通常、決定までに3ヶ月程度かかります。
(1)3ヵ月後に障害年金の裁定決定通知書が送付されてくる。
  尚、提出された診断書等で判断できないケースの場合は本人宛に照会が行われますが、
  そのときは決定が大幅に遅れることになります。
  年金の権利が決定されますと社会保険庁(国民年金は社会保険事務所)から「年金証
  書」と「裁定通知書」が郵送されてきます。尚、支給されないときは不支給決定通知
  書が送付されます。
(2)判定決定通知書の内容を点検する
  決定された内容に不服がある場合は、社会保険審査官に対し不服の申立ができます。
(3)振込み通知書が送られて初回の年金振込みがされる年金証書が届いてから50日後
  に振込通知書(年金送金通知書)が送られ、本人の振り込み指定口座に初回の年金振
  込がされます。次回からは偶数月に2ヶ月分が振込されます。
9.受給後の生活
(1)現況届の提出(毎年1回)
  引き続き年金をうけるためには、毎年誕生月の末日までに「現況届」を提出します。
  同時に診断書を提出する場合もあります。
(2)生活保護と障害年金
  生活保護制度は、憲法25条の理念に基づき、世帯の収入が最低生活基準を下回る場
  合に、不足分について保護があります。尚、障害年金を受けているときは、障害年金
  月額が生活保護法の定める金額を超えると保護費の支給はされませんが、障害厚生年
  金が保護費より少ない場合には、その差額が保護費として支給されることになってい
  ます。
(3)就労に関して
  厚生年金保険や国民年金の障害年金を受けている場合は、働いているという理由で支
  給が停止されることはありません。ただし、20歳前障害による障害基礎年金は、年金
  加入していないのにもかかわらず障害年金の受給が出来るため、本人の所得が一定額
  以上のあるときは半額停止、または全額支給停止となります。
  また、障害共済年金の受給権がある人についても、その方が共済組合や厚生年金保険に
  加入している間は収入により全額停止、または一部停止になる場合があります。

【障害年金用語】
●事後重症による請求
障害年金の受給要件では原則として、障害認定日において障害認定基準に定める程度の障 害の状態に該当しなければ受給できません。
しかし、病気やケガによっては、障害認定日では比較的軽症であったが、その後、徐々に 重くなり、重症になってしまうことがあります。
このような場合、1年6ヶ月目の障害の状態のみでは後日どんなに悪化しても障害年金が 支給されなくなり、徐々に悪化するような病気の人などは非常に不利益になりますので、 事後重症制度により障害年金を支給しようとするものです。
この制度で請求する場合は、以下の点をクリアーしなければ受給できません。
1.65歳までに障害認定基準に該当する症状であること
2.本人が請求することにより初めて受給権発生
  ただし、老齢基礎年金の繰上受給により既に年金を受けている人は事後重症による請
  求はできません。
3.加入要件と納付要件を満たしていること

●障害手当金
1.障害手当金の受給要件
 @障害厚生年金の初診日要件と保険料納付要件を満たすこと
 A初診日から5年以内にその傷病が治癒すること
 (ここでいう治癒とは、傷病が治ったことだけを指すのではありません。
 症状が固定した場合、又はこれ以上治療の効果が期待出来ない場合なども治癒とみなさ
 れます。)
 Bその治癒日において、障害の程度が準3級(3級より軽度)に該当すること
 障害手当金を受けられる障害の状態(厚年施行令別表第2号)
  ・両眼の視力が0.6以下に減じたもの
  ・1眼の視力が0.1以下に減じたもの
  ・両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  ・両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
  ・両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
2.障害手当金の受給額
 原則、障害厚生年金の年金額の計算式で得られた額の2年分の額。ただし、
 1,206,400円の最低保障額の適用有り
 ※障害手当金は、年金ではなく1回限りの一時金です。
3.障害手当金の注意点
 @障害手当金を裁定請求することは出来ない
 障害手当金は、あくまでも障害厚生年金を裁定請求した人が、先述した障害手当金の受
 給要件に該当した場合に限り支給決定されます。(つまり、障害手当金の裁定請求書類
 は有りません。)
 ※障害手当金を受給してしまうと、社会保険制度上では「その障害については精算が済
 んだ」という取扱いになります。よって、障害手当金を受給した場合、もしその傷病が
 再度悪化して障害等級3級以上に該当しても、その傷病に対して障害年金を裁定請求す
 ることは出来なくなりますのでご注意下さい。
 A消滅時効に注意
 傷病の治癒日(症状が固定した日)から5年以上経過していると、障害手当金はもらえ
 ません。
 B支給制限に注意
 傷病の治癒日時点で、他の公的年金の受給権を持っていた場合、又は同一傷病により労
 災保険給付の受給権を持っていた場合は、たとえその公的年金などを受給していなくて
 も障害手当金はもらえません。
 ※傷病の治癒日の翌日以降に他の公的年金(遺族年金など)の受給権を取得した場合は、
 障害手当金をもらうことが出来ます。

【千葉県の社会保険事務所名】
●千葉社会保険事務所
〒260−0024
千葉県千葉市中央区中央港1−17−3
TEL 043−242−6320
●船橋社会保険事務所
〒273−0001
千葉県船橋市市場4−16−1
TEL 047−424−8811
●松戸社会保険事務所
〒270−0034
千葉県松戸市新松戸1−335−2
TEL 047−345−5517
●木更津社会保険事務所
〒292−0832
千葉県木更津市新田3−4−31
TEL 0438−23−7616
●千葉社会保険事務局佐原事務所
〒287−0000
千葉県佐原市佐原口2116−1
TEL 0478−54−1442
●幕張社会保険事務所
〒262−8501
千葉県千葉市花見川区幕張本郷1−4−20
TEL 043−212−8621


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