あぁるぴぃ千葉県支部だより25号


■投稿■

☆風の音 花の香 陽の光(かぜのおと はなのか ひのひかり)C
 千葉在住の会員KHさんの俳句集『谺』(こだま:H14.3月上梓)の中から、毎回 季節に合わせて3句位づつご紹介しています。
 今号もKHさんの十七文字の世界を皆様とご一緒に旅して行くのは、SI(千葉市 在住、夫MIがRP)です。どうぞよろしく!

*喉元を過ぐ絹ごしの秋めきし(のどもとを すぐきぬごしの あきめきし)
*膝折って牛が水澄む沼を呑む(ひざおって うしがみずすむ ぬまをのむ)
*少年の魚籠の空っぽ鰯雲(しょうねんの びくのからっぽ いわしぐも)

 第1句:空が高く感じられ、水が冷たく感じられたら、季節はもう秋。どことなく夏とは 違う絹ごし豆腐の喉越しに感じる秋の気配。“秋来ぬ(アキキヌ)と眼にはさやかに見えね ども・・・”ですね。
 第2句:前号でご紹介したお母さん牛でしょうか。綺麗な秋の空をそのまま映している ような澄んだ沼の情景が浮かんできます。“沼を呑む”というスケールの大きさが素敵な 一句です。
 第3句:何が釣れるのかと覗き込んだ少年の魚籠(ビク)。釣果(チョウカ)なし。 ふと見上げると秋空いっぱいに広がる鰯雲。鰯大漁の予兆といわれる鰯雲と、空っぽの魚籠 (ビク)の取り合わせがユーモラスで、やわらかな秋の陽差しの中、一幅の絵を観るようです。 ここはどうしても“羊雲(ヒツジグモ)”ではなくて“鰯雲”ですね。
 この句に誘われて、山口百恵でヒットした、谷村新司(詞・曲)の『いい日旅立ち』のA番の歌詞を思い出しました。
 岬のはずれに 少年は魚釣り 蒼いすすきの 小径(コミチ)を 帰るのか
 私は今から 思い出をつくるため 砂に枯れ木で書くつもり さよならと
  あー  日本のどこかに 私を待っている人がいる
 いい日旅立ち 羊雲を探しに 父が教えてくれた 歌をみちづれに
  あー  日本のどこかに 私を待っている人がいる
 いい日旅立ち 倖せをさがしに 子どものころに歌った 歌をみちづれに

 それでは皆さま次回までごきげんよう。この欄へのお便り、KHさん共々お待ち しています。(SI)


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