あぁるぴぃ千葉県支部だより46号


■投稿■

★「補装具と日常生活用具の制度とは」と「申請から給付までの流れ」

支部長 太田 浩二
 JRPS嶋垣理事から「ものしりトーク」(松下電器産業株式会社)が千葉市で日常生 活用具として認定されているとの情報を得て、近くの美浜区役所に行って「補装具や日常 生活用具の一覧表はないか」と尋ねたところ、「そのようなものはない。申請者から必要 な品物を聞いて、該当するかどうかを調べて対処している」との回答でした。実際に「も のしりトーク」が認定品であるかは調べてもらいませんでしたが、市役所の担当窓口に問 い合わせるなどして、結構時間がかかることになるのではないかと思いました。これが大 多数の役場の窓口の実情だろうと思われます。
 一方、11月3日にサイトワールドに出展している日本点字図書館で、「視覚障害者用 補装具・日常生活用具候補品カタログ 2006年10月版(自立支援法対応版)」と 「視覚障害者用具カタログ 2006年10月版」を入手してきました。前者のカタログ にはSPコードが入っていますので、テルミーまたはスピーチオがあれば、読み上げてく れます。また、点字または音声の取扱説明書を用意しているとあります。
 このカタログの入手などについての連絡先は次のとおりです。
日本点字図書館 用具事業課
電話 03−3209−0751  FAX 03−3200−4133
E−mail: yougu@nittento.or.jp
 支部だより44号の特集として、すでにお伝えしていることではありますが、このカタ ログの1〜3ページに「補装具と日常生活用具の制度とは」と「申請から給付までの流れ」 の記事が分かりやすくまとめられていますので、転記します。

「補装具と日常生活用具の制度」
【補装具費支給制度】
 補装具とは、身体機能を補完し、又は代替し、かつ長期間にわたり継続して使用される ものです。視覚障害者の場合は、盲人用安全杖、義眼、眼鏡が対象となります。
◎自立支援法施行による平成18年度10月からの主な改正点
●これまでの現物支給から、補装具費(購入費、修理費)の支給になりました。
(1)対象品について
 盲人用安全杖、義眼、眼鏡が対象品となっています。以下の2点が変更になりました。
  ア)点字器 : 日常生活用具へ移行
  イ)色眼鏡 : 廃止
(2)利用者負担
 定率負担になり、1割を利用者が負担することになります。ただし、所得に応じて一定 の負担上限が設定されます。
【日常生活用具給付等事業】
 重度障害者に対し、自立生活支援用具等の日常生活用具を給付又は貸与すること等によ り、日常生活の便宜を図り、その福祉の増進に資することを目的としています。
◎自立支援法施行による平成18年度10月からの主な改正点
●市町村地域生活支援事業の一つになりました。
(1)対象品について
 以下の三つの要件を満たす、6種の用具となりました。
<要件>
1.安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの。
2.日常生活上の困難を改善し、自立を支援し社会参加を促進するもの。
3.製作や改良、開発にあたって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常 生活用品として一般的に普及していないもの。
<種目>
1.介護・訓練支援用具・・身体介護を支援する用具や、障害児が訓練に用いるいすなど
2.自立生活支援用具・・入浴補助用具や聴覚障害者用屋内信号装置などの、入浴、食事、 移動などの自立生活を支援する用具
3.在宅療養等支援用具・・電気たん吸引器や盲人用体温計などの、在宅療養等を支援す る用具
4.情報・意思疎通支援用具・・点字器や人工喉頭などの、情報収集や情報伝達や意思疎 通等を支援する用具
5.排泄管理支援用具・・ストマ用装具などの排泄管理を支援する衛生用品
6.居宅生活動作補助用具(住宅管理費)・・居宅生活動作を円滑にする用具で、設置に 小規模な住宅改修を伴うもの
<具体的な対象品>
 具体的な対象品は市町村が独自で判断します。以下の商品は各種目に該当する対象品例 です。詳しくは市町村の福祉窓口にお問い合わせください。
●自立生活支援用具・・電磁調理器、歩行時間延長信号機用小型送信機
●在宅療養支援用具・・盲人用体重計、盲人用体温計
●情報・意思疎通支援用具・・情報・通信支援用具(障害者向けのパソコン周辺機器、ア プリケーションソフト)、点字ディスプレイ(盲ろうに加えて、視覚障害のみも対象にな ります)、点字器、点字タイプライター、視覚障害者用ポータブルレコーダー、視覚障害 者用活字文書読上げ装置、視覚障害者用拡大読書器、盲人用時計など
(2)利用者負担について
 実施主体の市町村の判断により決定されます。
 (平成18年10月初旬に入手した情報では、多くの地域で「各種目の基準額の1割負 担(所得により月額負担上限額あり)」となっており、一部の地域で「申請者の負担なし」 を採用しています。また、1割負担の地域でも軽減措置が講じられている所もあります。 詳しくは、市町村の福祉窓口にお問い合わせください)
(3)対象者の変化
 ア)在宅以外の施設入所者も給付対象になりました。ただし、本来施設で準備すべき備 品もあるので、市町村で必要性を調査し判断します。
 イ)給付対象者は重度視覚障害者となっていますが、機械的に1、2級とするのではな く、必要性を勘案の上、市町村で判断するようになりました。
 ウ)「盲人のみの世帯」、「手指の触覚に障害がある」などの障害の程度についての記 載はなくなり、必要性を市町村で判断することになりました。

「申請から給付までの流れ」
1.まずはこのカタログから商品を選んでください。
2.市町村の福祉窓口へ対象品になっているか、お問い合わせください。対象品であれば、 給付の申請ができます。
 初めて申請する方は、身体障害者手帳をはじめ、準備する書類がいくつかあります。併 せて市町村の福祉窓口へご相談ください。
3.書類を揃えて、市町村の福祉窓口に申請をしてください。
 商品の見積やカタログをとるように指示があった場合は、販売業者にその旨連絡してく ださい。
4.給付が決まると市町村から申請者及び販売業者へ通知書が送られます。
5.これ以降の手続きについては、販売業者から連絡が来ます(負担金の支払いや給付券 等の書類に捺印をします。負担金の振込みなどを行います)。
6.販売業者より商品が届けられます。


★「クラシックバレエ」に挑戦

千葉市 佐藤 哈都子
 何度かJRPSの行事に参加させていただいたとき、とても和やかでこころ温まること を知りました。わたしは体が丈夫なので、会のために何か役に立てるのではと考えていま した。でも、白内障がだいぶ進行していたので、それをとればもう少し見えるようになる かもしれないと考え、白内障の手術をしてみました。しかし思ったより良くならなかった のです。
 へこんでいるわたしに、前支部長の小出さんから、「バレエのストレッチを教えてくだ さる先生がいます。美容体操と思って行ってみませんか?」と、声をかけていただきまし たが、正直あまり気が進まなかったのです。でもとにかく行ってみることにしました。
 行って見ると、JRPSのお仲間が5、6人いらっしゃって、先生も若くて感じの良い 人でしたが、四街道市まではちょっと遠いように感じました。
 二回ほど行って休んでいたところ、ボランティアのMさんが近くにお住まいで、毎週木 曜日に一緒にお稽古に連れて行っていただくことになりました。
 お稽古場に行くと、先生をはじめ皆さんがとても自然でやさしくサポートしてください ますし、なによりJRPSのお仲間がいることで楽しみになりました。
 かなり見えなくなっているわたしに、皆さんからやさしくリードしていただき、だんだ んバレエ教室に来るのが楽しみになり、木曜日が来るのが待ち遠しくなって来ました。
 「バレエ」と言う舞踊があることは知っていましたが,わたしには無縁な世界で、自分 がその踊りを踊ることなど、まったく考えたこともありませんでした。そのため、何がな んだかさっぱりわかりませんでした。
 バレエ用語を覚えることから、先生の足や体を手で触りながら、ひとつひとつ教えてい ただきました。しかし、覚えるより忘れるほうが早く、何度も根気よく教えていただきま した。
 自分だけ間違っているのでないかという不安の中で、先生から「哈都子(はつこ)さん できていますよ」との声を聞くと一安心。バレエ教室の雰囲気の素晴らしさと、本当に心 が和んでいく自分を発見しました。
 7月30日の「クラシックバレエ 鴻巣バレエ教室の発表会」に、JRPSのお仲間6 人の中に入れていただき、「シルフィード」を踊りました。
 舞台に立つのは初体験で、あの大音響の曲も聞こえなくなり、自分が何をしているのか も分からない、真っ白な状態で終わってしまいました。大変無謀なことをしたことに後悔 し、皆さんにご迷惑をかけたことに、穴があったら入りたいという気持ちになりました。 足はガタガタ震え、せっかくの踊りを台なしにしたのではと考え、どうしたらいいのかも 分からない感じでいました。
 そんなわたしに、7月30日が67歳の誕生日であることを知っていた皆さんが、誕生 日の歌を歌ってくださることになりました。
 わたしを囲んで、あのJRPSの歌姫Nさんを中心に、素晴らしい「ハッピーバスデー」 の歌声は、この上ない幸せを感じ、大感激! 大泣きをしてしまいました。私の泣き声に、 何にんかの人ももらい泣き・・本当に幸せな瞬間をいただきました。
 皆さんのやさしさに心から感謝し「ありがとうございます!」と、何度も言いつづけ、 今でも思い出すと涙が出てきます。幸せを一生分いただいたようです!!
 あの感激の興奮も未だ冷めない八月の末に、四街道市の文化祭「第二回 ダンシング  バザール」に、もう一度踊ってみませんかとの話があり、JRPSのお仲間数名の方々で 参加。今度はもう少し上手に踊れることを夢見て、白鳥の湖「サンサーンスの白鳥」で出 演してみることにしました。
 三ヶ月足らずの期間ですので、まるでバレエを知らないわたしには何の進歩もないはず、 怖いもの知らずで、何を考えているのだろうと思われるようなことをやってみました。
 NHKテレビの取材まで受けて、がんばってみました。
 JRPSボランティア会員のSさん、JRPS患者会員のお仲間3名(Uさん、Iさん、 Aさん)それに私の5名で参加しました。
 鴻巣バレエ教室の先生や、ボランティアのSさんが、自然でやさしくお世話をしてくだ さいました。一緒にお稽古をしてくださっているかたがたと、小さい時からバレエを踊っ ていらっしゃるお嬢さんたちも一緒に踊ってくださり、わたしは素晴らしい衣装も、お化 粧もしていただき、姿だけは本物のバレリーナになりました。
 しかし、上手に踊れるはずもなく、また後悔が先になっていたところ、いろいろとイン タビューを受けました。何を話したか覚えてなく、思い出そうとしても思い出せないまま 放送される日が怖く、何か落ち着かない日々が過ぎました。
 NHKの番組を見ていただくために、誰かに連絡をしたいと思っても、なぜかためらっ てしまい、放送日12月4日午後6時のニュースの後、「首都圏ネットワーク・夢をかな えるために 〜杖を置いて羽ばたきたい〜」で放映されました。
 テレビ放送を見ていただいた方々からの「白鳥に挑戦とは素晴らしい!」とか「とても きれいでした!」「感動しました。わたしも見習って頑張っていきたい!」など、ありが たい感想をたくさんいただきました。
 夢の世界、クラシックバレエの白鳥に挑戦できたことは素晴らしく、幸せなことであっ たのだと実感しました。
 素晴らしいかたがたとの出会いに心から感謝し、この出会いを大切に生きていきたいと 思います。


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