あぁるぴぃ千葉県支部だより49号


■投稿■

★視覚障害者用録音機器の活用について(プレクストークPTR2)

越谷市 宗片 政昭
1.はじめに
 世の中には、録音していつでも聞けるとよいものが、たくさんあります。対面朗読、文 書読み上げ、ラジオ放送、テレビ放送、学芸会、運動会、誕生会、懇親会、親睦会、打ち 合わせ、会議等いろいろあります。ところが、一般的に使われているカセットテープでは、 往復2時間録音と短く(半速では4時間)、また、いくつかの録音をすると、頭出しが大 変で、実用的ではありません。そのため、1回ごとにテープを替えなければなりません。 また、一般的な録音機器は、音声案内が無いので、操作が困難です。
 そこで、1・2級の人が1割負担で購入できる「プレクストーク」を使用すると、前期 の問題が解決します。
(注)負担金額は、市町村により、収入金額により異なります。
2.プレクストークとは
 プレクストークは、以前から販売されていますが、現在販売されているのは、「プレク ストークPTR2」(定価 85,000円)で、録音・編集・再生等が、視覚障害者で も、簡単に操作できるように、工夫されています。音声案内もあります。
 最大90時間録音でき(CD−Rの場合)、いくつかの録音をした時の頭出しが容易で す。録音は、MP3規格の一種の「デイジー規格」で、行われています。
 また、そのままでは、一般のパソコンで再生できません。ところが、ファイナライズを 行えば、パソコンのメディアプレーヤーで再生できるので、一般の人と情報共有が出来ま す。
パソコンのメディアプレーヤーの一例
・ウィンドーズ メディアプレーヤー
・リアルプレーヤー
3.録音の基本操作
・電源コードを接続する。バッテリー操作も可能です。
・本体の電源ボタンを、ONにする。
・「CD−R」を挿入する。「CD−RW」でもよい。
・録音ボタンを押す。録音待機状態になります。
・もう一度、録音ボタンを押す。録音が開始されます。
・録音を止めるときは、「再生・停止ボタン」を押す。
・「CD取り出しボタン」を押す。CDが飛び出しますので、ケースにしまいます。
以上で、録音完了です。
4.再生の基本操作
・電源コードを接続する。バッテリー操作も可能です。
・本体の電源ボタンを、ONにする。
・録音した「CD−R」を挿入する。
・「再生・停止ボタン」を押す。再生が始まります。
・再生をやめるときは、「再生・停止ボタン」を押す。
・再度「再生・停止ボタン」を押すと、前回停止したところから再生されます。
・最初に戻す時は、「見出しキー」を押す、「シャープキー」を押す。これで、最初 から再生できます。
・CDを取り出す時は、「CD取り出しボタン」を押す。CDが飛び出しますので、 ケースにしまいます。
以上で、再生完了です。
5.プレクストークを持っていない人にも、聞いて欲しい時。
 録音したCD−Rの「ファイナライズ」を行えば、パソコンで再生できるようにな ります。
「ファイナライズ」する方法は、次の通り。
・電源コードを接続する。バッテリー操作も可能です。
・本体の電源ボタンを、ONにする。
・録音した「CD−R」を挿入する。
・「メニューキー」を押す。
・「6キー」を何回か押し、「メディア管理」と言ったら、「シャープキー」を押す。
・「6キー」を何回か押し、「CDファイナライズ」と言ったら、「シャープキー」を押 す。
・「実行しますか」と言ったら、「シャープキー」を押す。実行している間、音が鳴るの で、音が止まるまでそのまま待つ。
・音が止まったら、ファイナライズ完了です。
 プレクストークは、上記の通り、視覚障害者でも簡単に操作できる、音声情報管理機器 です。皆さまが活用して、情報を整理・取捨選択・情報の再利用に使用し、より豊かな生 活を送られることを希望しています。
 ご質問は、JRPSちばのMLで頂けるとありがたいのですが。電話でもOKですが、 不在のことが多いので、時間がかかるかも知れません。留守電に入れていただければ、ナ ンバーディスプレイに送信者の電話番号が残るので、送信者へ掛けることが出来ます。
電話・FAX 048−962−7456(FAXは、自動受信)


★或る日、お魚になった、障害者たち
(21世紀に、挑戦し続ける、翼の折れた、マーメイドと、ポセイドン)

八千代市 デリシャス五味
 さわやかに抜けるような青空。海辺の香りを漂わせる薫る風。新緑のつつじの香りが漂 う地面。元気で夢あふれる障害者が、ここ、新習志野駅そばにある、国際スイミングセン ターに、本日、集い集まります。
 光や色の無い世界、きっと肌で感じる暖かさが、五月晴れの、すがすがしい、さわやか なドラマのような世界、そんなメンタル・イメージを創造させてくれるのでしょう。
 こいのぼりが空高く5月の大空を、舞い踊るように、5月27日千葉県障害者水泳大会 が行われました。
 身体障害を乗り越え、精神障害を乗り越え、満身創痍の人魚達と、海神達が、5月のこ いのぼりに負けないように、淡いマリンブルーの水に抱かれて、リングとなるプールで感 動を携えて、競い合います。
 私も、視覚障害になり2年が経ちました。レーベル病という病気で、半年目に視力が 2.0から、指数弁で10センチと視力がなくなりました。
 慣れぬ白杖で足首の捻挫や腰痛を経験しました。何か心と体の健康にと、1年前に水泳 教室へ誘われるままに通い始めました。
 ジャパニーズ・ビジネスマンは24時間働けますか? の世界です。
 絶対に、絶対に、運動不足です。酒に、煙草、ゴルフはお得意ですが、水泳は30年ぶ りくらいでした。10メートルで息が切れます。10分くらいで足がつります。20分経 つと震えが来て、サウナに直行でした。30分経つと煙草が恋しく思えてきます。
 見えなくて、何故真っ直ぐ泳げるのでしょうか? 最大の疑問でした。見えていても難 しい問題です。蹴り伸びの姿勢で浮いています。人が沈まないことを学びました。
 力まない姿勢で真っ直ぐ進みます。左右のバランスと姿勢が大切です。大会記録を意識 すると、右利きの私は、左へ蛇行してしまいます。このバランスが難しいところです。
 今回の私の関心ごとが3つあります。
 一つ目は、数えで77才のYおばあちゃん。今年は、張り切って飛び込み台に挑戦する そうです。「よーい、どーーーん!」しばらくすると、「バッチャーーーン」と、腹うち をした大きな音が会場内に響き渡ります。だんだんと大きくなってくる歓声。「頑張れ! 頑張れ!」「サッチャーン、もうチョット」なんて、皆一緒に泳いでいるようです。
 二つ目は、ペースメーカー付のDさん。クロールで目標を持って、全力で泳ぐのだそう です。「よーーい、どーーーん!」ペースメーカーが壊れそうな勢いを、水を掻き分ける 音で感じます。バシャ、バシャ、バシャ。すごい勢いと迫力です。結果は目標どおりの、 16秒。何処にあの体力を秘めているのか、ペースメーカー顔負けの勢いでした。
 三つ目は、26才で全身麻痺の健ちゃん。八千代市のプールで一緒に練習していました。 彼は左手と、左腕一部しか動きません。一生懸命掻き続けて2〜3分くらいで、25メー トルを泳ぎます。全身が力を入れられませんので、スタートから泳ぐまでの5メートルが 25秒くらいかかってしまうのです。
 先生に、「そんなタイムじゃ大会に出られないよ」と冷やかされると、「先生、タイム じゃないよ。泳ぎきることが大事なんだよ」なんて、感動を与えてくれます。
 彼は、お父さんの伴走で、1分38秒とすばらしい記録を残しました。会場の人々は、 皆で一緒に泳いでいるような声援と、どよめきでした。
 おーーっと、忘れていました。私は25メートル平泳ぎ。山生まれの自分は、海に出か けて、シュノーケルをつけて潜水することが、好きでした。いまだに、息継ぎが苦手です。
 飛び込み台からのスタートです。「よーーい、どーーーん!」思い切り前にジャンプし ました。綺麗に頭から水中に入ったようです。肌に感じる水圧、柔らかく包み込んでくれ る水の世界、そして、静かな水の音の演奏会。思わずお魚になって、浮遊している気分で す。おやおや、泳がなくてはと水面にでて一掻き、一蹴り。練習しすぎの、胸襟と股間が 痛みます。目標25秒には届きませんでしたが、気持ちよく泳げました。
 片手の無い人、片足の無い人。皆自らの体力で泳ぎきり、すばらしい記録を残しました。 学生の障害者は、「バシャ、バシャ、バシャ」と、若々しいリズムで記録を作りました。 一掻き、一蹴りと泳ぎ続けることで、障害者でも、持っている能力でゴールに達すること ができるのです。
 障害者の皆さま、すばらしい感動と勇気を与えてくれて、ありがとうございました。
 指導してくださいましたコーチの方々、短い間に泳げるようになりました。ありがとう ございました。
 大会関係者の皆さま、ボランテイアの皆さま機会を与えていただき、陰にひなたに支え ていただきました。ありがとうございました。
 光や色の無い世界。地面では障害物がありうまく歩けないかもしれません。水の中では、 障害物はありませんが、力を抜いて、綺麗な姿勢で泳がなくては、どこにゴールするのか わかりません。一掻き、一蹴りを来年度に向けて、もう少し早いポセイドンになるために 明日から練習開始です。
 蛙泳ぎから、平泳ぎに へ・ん・し・ん・ジャーーーイ!


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