あぁるぴぃ千葉県支部だより60号


■投稿■

★世界大会ツアーに参加して〜北欧旅行記D

千葉市 渡辺 友資枝
 私の視野は5〜10度。中心視力は矯正で0,4ほどありますが、最近、老眼がす すんだこともあって文字も読みにくくなってきました。そんな私が7月4日と5日に ヘルシンキで行われた世界大会に行ってきました。というと聞こえはよいのですが・ ・・。それを口実にフィンランドの首都ヘルシンキとロシアの古都サンクトペテルブ ルグに観光旅行に行ってきたというのが本当のところです。それは日本各地から集ま った個性豊かなJRPS会員の面々と過ごした楽しい8日間でした。
 旅も半ばを越え、日本を発ってから5日目となりました。今日はいよいよヘルシン キを離れ、サンクトペテルブルグに入ります。
 ホテルからヘルシンキ空港へ向かうバスの中、堀口理事より世界大会の報告があり ました。世界大会ツアーに参加したはず(?)の私たちが、日本に戻ってからキチン と世界大会の報告ができるようにとの堀口理事の配慮です。世界大会ではすばらしい 研究成果の発表が2つあったそうです。(詳しくは本部会報誌「RP」No.76  堀口理事による世界会議、世界大会報告をご覧ください)。堀口理事のわかりやすい 説明にもかかわらず、医療オンチの私にはわからないところもあったのですが、その 2つの研究がRPの治療法にとっては大変すばらしい進歩であることは、いつも冷静 な堀口理事が少し興奮気味に話す様子からよく理解できました。
 ヘルシンキからサンクトペテルブルグまでは飛行機で1時間あまり。前回ご紹介し た東京支部のTさんと楽しいおしゃべりをしているうちに到着です。
 サンクトペテルブルグの空港で私たちを迎えてくれたのは背が高く、いかにもロシ アのお母さんといった感じのガイドさん。たしか、お名前はマリアさんとおっしゃっ たと思うのですが。そのマリアさん、来日の経験はなく、大学で日本語を勉強したそ うです。とてもお上手で、丁寧な日本語を話します。マリアさんがロシアなまりの日 本語で「お客様はこれから・・・をご覧になります」と言う度に、私は苦笑を禁じ得 ませんでした。私は今までこんな丁寧な言葉で応対されたことはありません。
 私のロシアに対する第一印象は、とにかく「大きい、でかい」ということです。人 も建物も。木々でさえ日本より大きく感じられます。
 まず、バスの中。身長155pの私が座席に深く腰かけると、つま先がやっと床に 届く程度。ホテルの洗面台も私の胸の高さです。ロシアでは私はお子様サイズです。
 そして、バスの車窓から見たデパート。1階建てなのですが、どこまでもその建物 が続きます。端から端まで歩くと何十分もかかりそうです。ロシアでの買い物は体力 が要りそうです。
 空港からしばらくは、広い大地の中に「ソビエト連邦」の名残を思わせるいかめし くそっけない建物が点在する風景が続きます。ところが、市街地に入ると風景は一変 しました。クリーム色を中心とした明るい色の豪華なバロック様式の建築物が絶える ことなく続きます。16世紀にこの街をつくったピョートル大帝が、「暗く寒い冬が 長く続く土地だから、街の建物は明るい色にするように」とお命じになったそうで す。なんと粋な王様でしょう! また、ロシアの人々は銅像がお好きなようで、街の あちこちに立派な銅像があります。ロシアの人は街の名前を変えるのも好きなよう で、サンクトペテルブルグもペトロブルグ、ペテログラード、サンクトペテルブル グ、レニングラード、再びサンクトペテルブルグと何度も名前を変えています。バス の中で足をブラブラさせ、マリアさんの説明を聞きながら、街を見、私は軽いカル チャーショックをうけていました。
 ロシアでの初めての食事は、市内のレストランでペリメニというロシアの水餃子を いただきました。とてもおいしかったです。これは私のお気に入りとなりました。
 ロシアは極寒の冬が長く続く国。外の寒さを遮るためでしょう。石の建物の壁は厚 く、窓も小さく造られています。そのため、建物の中はうす暗いのです。建物に足を 踏み入れた途端、私の足はすくみ、歩みは止まります。そんなとき、添乗員さんは すっと私の横にきて、「渡辺さん、ここはつらいよね」と言って腕をかしてくれま す。大変ありがたかったです。もうこの頃になると添乗員の方は、ツアーのみんなの 見え方がわかってきてくれていました。
 昼食後、私たちはかの有名なエルミタージュ美術館に向かいました。ここも日本で は考えられないほどの大きさ、豪華さです。ここで、今までいつもジョークを飛ば し、笑顔を絶やさなかった添乗員のTさんの表情が一変して、厳しくなりました。そ の理由を私たちは数分後に理解することとなります。
 いよいよ私たちはガイドのマリアさんに連れられて豪華なエルミタージュの中へ。 中は私たちのようにガイドに連れられた世界各国の観光客でごったがえしています。 館内にはガイドさんの話す英語、フランス語、ドイツ語・・・と世界各国の言葉が飛 び交います。マリアさんも負けじと「お客様!」と大きな声を張り上げ、展示されて いる美術品や建物の建築様式の説明をしながら、人々の間を縫うように進みます。な にしろ展示室は400もあり、そのどれにも世界的に有名な美術品がいくつも展示さ れているのですから、主なものを見学するだけでも、限られた時間では急がなければ なりません。マリアさんは説明が済むと後に続くわたしたちを振り返ることもなく、 次の場所へ進みます。私たちは超有名な美術品をゆっくり鑑賞している暇はありませ ん。混雑する人混みの中、迷子にならないようにマリアさんについて行くのが精一 杯。これが、添乗員のTさんの表情を厳しくさせた理由だったのです。Tさんのお話 によると、ロシアのガイドさんは後ろを振り返らないのだそうです。私たちはダ・ ヴィンチの絵の前を通り過ぎ、レンブラントやモネ、マティスの絵も見たようなので すが・・・。残念ながら、RPの私の眼では、色彩の暗い油絵は何が描いてあるの か、よくわかりませんでした。とにかく絢爛豪華な室内と金縁の額が印象に残りまし た。東京のIさんいわく、「エルミタージュ・マラソン」だそうです。
 「エルミタージュ・マラソン」を終えたわたしたちは、市内のレストランに移動 し、とにかくロシアでの第1日目に乾杯です。
 明日もまた、マリアさんに連れられてサンクトペテルブルグ観光です。


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