あぁるぴぃJRPSちば会報111号


■ 投稿
 ★ロービジョン川柳
担当 中野 早苗
 皆さま、新しくロービジョン川柳コーナー始まります。今回は2名の投稿作品を掲載します。いずれもロービジョンならではの作品です。同じような題材でも人それぞれ詠み方の違いを味わうのも楽しみの1つですね。このコーナーは、JRPSの会員に限らず他の視覚障害の方にも作品募集をしたいと思っています。

(RP王子)
・満開を 酒と喧噪で知る RP
・優先席 老いも若きも 眠り込み
・無言にて 手を引っ張られ 尻込みし
・杖忘れ 薄情(白杖)者と 笑われる
・優先席 寝たふり昔の 我が身かな
・ベテランは ヘルプ欲しそに きょろきょろし
・白杖に モーゼの力 人割れり

(新千葉2丁目の風)
・傘もって 玄関に杖 忘れてる
【解説】
 普段はカバンを持って、杖をもって出るのに、雨が降るといつもの手には傘が握られているので、杖をつい、忘れてしまい玄関を出てしまう。そんな日常の一場面を詠んでみました。

・低価格 こぼして飲んで 高価格
【解説】
 安くてうれしい発泡酒(いや、実際には第三種ビールというべきか)。ビールは高くて毎日飲めません。でもまたコツンと倒して、こぼしてしまう。残った半分くらいをテーブル拭き拭きしながら苦い顔して飲んでいる。そんな一場面を詠んでみました。

・秋なのに 残る視力が 雪化粧
【解説】
 秋は色づく紅葉の季節。でも壊れた網膜が邪魔をしてしまいます。日々失われていく視力は、まるで冬になる前の秋を懐かしむようにその色鮮やかさに恋しているような光を放ちます。でもその光は網膜の吹雪となって、目前の視界を覆っていきます。しかし、冬が来るから葉が色づくのも事実、冬があるから秋に恋するのも事実。そんな、一瞬感じた季節の移り変わりへの畏敬の念と少し感じた心のシンクロの一場面を詠んでみました。

・鮮やかに 夕焼けにじむ 心のフィルム
【解説】
 先日陸橋を歩いていると、「右前方の夕焼けがきれいだよ」と言われて、眺めたけれど何も見えませんでした。でも、心のネガには少しずつ、きっと確かにその方角にある夕焼けが、じわじわと心のフィルムに沁みこんできました。そのしみこんできた夕焼け色は、鮮やかに記憶に残るオレンジ色でした。「鮮やか」と「にじんでいる」は、相反する表現かもしれませんが、見えないけど心で見えるというのもまた、相反することでしょう。見えない人にとっては心で見ているという現実。こうしたパラドックスの存在を発信していくことも私たちにとって大切かもしれません。

※投稿先 中野 早苗 Eメール:sanae403@y3.dion.ne.jp


★お役立ち情報コーナー(bR)
投稿 株式会社KOSUGE 小菅 一彦
【視覚障害者の自立歩行を補助できる「みちびき(準天頂衛星)」を利用した非公開地図端末機器システムの開発】
 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)福祉用具実用化開発支援事業「あらゆる状況に歩行補助できるMy地図端末機器の開発」(申請者:株式会社ニュー・ジャパン・ナレッジ、株式会社フォルテ)のご紹介です。
 携帯電話やカーナビで現在位置を知る方法は、以下のとおりです。
人工衛星から発信されている電波を受信して、衛星から受信機までに到達するまでの時間を求め、電波の速度を掛け算して距離が計算され、東西方向、南北方向および高さの3次元位置が測定されており、「衛星測位」といわれています。その際に使用される受信機の時計を正確にさせるために衛星に搭載されている原子時計にあわせる事が必要です。そのために合計4機の衛星が必要となります。
 現在は、米国のGPS衛星を利用しているため、一般的に衛星測位の事をGPSとも呼ばれていますが、万が一、戦争などによりGPSが使用できなくなってしまえば、衛星測位ができなくなってしまいます。そのために、日本独自の測位衛星の打ち上げが必要とされ、現在「みちびき」4機が打ち上げられています。
 我が国独自の測位衛星は、経度を維持したまま静止衛星を南北方向に振動させた軌道としていますが、地球の自転との関係から南北対称の「8の字軌道」になります。この軌道に離心率(りしんりつ)をつけて南北非対称にしたものを「準天頂軌道(QZO)」となり、「8の字」の小さい方で、即ち日本上空では移動速度が遅いため、長く留まります。準天頂衛星(QZS)システムは、GPSと同じ周波数の信号を配信しているため、安定した測位が可能になり、精度の高い位置情報を得ることができます。
 現在のGPSの測位誤差は10メートル程度と言われていますが、QZSを利用することで、主な誤差要因の@「電離層遅延」は、QZSシステムでは電離層遅延を改善できるシステムが採用されており、A「衛星数不足」は2018年度に4機となりGPSと合わせて9機体制で解消され、Bビルに囲まれている事による反射信号問題による誤差は、高仰角衛星の電波を活用する事により改善されます。
 GPSとQZSの両者を受信できる機器を組み込んだ高精度位置情報検出機器操作盤                  (ガラ系携帯電話とほぼ同様な形状)をiPhoneとブルートースにて繋いでiPhoneを用いて、歩行訓練士や同行援助者により、当事者の通常歩行する経路を自動的に、例えば5メートル毎に緯度・経度・高度を記録させ、いわゆる仮想上の誘導ブロックや点状ブロックを形成させる。その際に点状ブロックもしくは相当する場所に来たら、どのような内容の危険状態かを音声入力してもらい、もしくは点状ブロックの横にお店があるとか、自宅の玄関・訪問先のビルの入り口を音声記録させ、登録した経路は、iPhoneからサーバーに転送させ保存させる。登録された経路を歩行する際には、iPhoneに繋がっている操作盤にてルートを音声により選択して、出発点から歩行する方向に対しては、操作盤を回転させ振動する方向で認識させる。
 その後は、例えば両手首に振動発信器を取り付けて、歩行経路から外れたら手首に振動が発生し、骨伝導ヘッドフォーンにより音声警告を発生させ、規程経路に戻れるようにする。また、仮想点状ブロックに来たら、振動とともに入力音声にて、情報を伝える。このようなアイデアにて、開発を進めています。
 来年度に向けて信号の色判断できる機器・システムの開発を進めていきますので、ご協力方宜しくお願い致します。                           
※このコーナーでは、カテゴリーやジャンルに関係なく、視覚障害者に役立つ情報を掲載しますので、多くの方からの投稿をお待ちしています。(匿名でも可)
◎投稿先 江澤 正広 Eメール:masa-ezawa@carrot.ocn.ne.jp


★こころの豆知識
船橋市 垣田 悦子
 皆さま、お元気ですか? 早いもので、もう12月。今年は何だか、あっという間に1年が経った気がします。これからクリスマスだの年末の大掃除だのと忙しくなりますが、良い新年を迎えるためにも今、ウイルスに負ける訳にはいきません。という事で今回は、目にも良くウイルス対策にもなる1品を紹介します。
 

<さけの和風ホイル焼き>
(材料) 2人分
さけ・・・・・・・・2切
みそ・・・・・・・・大さじ1
醤油・・・・・・・・大さじ1/2
みりん・・・・・・・大さじ1/2
砂糖・・・・・・・・小さじ1/2
じゃがいも・・・・・1/2個
しめじ・・・・・・・1/4袋
えのき・・・・・・・1/4袋
ねぎ・・・・・・・・適量


(作り方)
@ みそ、醤油、みりん、砂糖を練り合わせる
A じゃがいも、ねぎはせん切りにし、えのき、しめじは根元を取り、ほぐす。えのきは長いので半分に切る
B アルミホイルを約20センチ長さに切り縦長に置き、その中央にさけを横向きにのせ、@の合わせみそをさけにぬる
C Bの上に、じゃがいも、しめじ、えのき、ねぎをのせアルミホイルを最初は縦どうしを合わせ折り曲げ、具材ぎりぎりまで巻いていく。次に横の部分をくるくると曲げていき、蒸し焼きにしても、中の汁が漏れないように、しっかり包み込む
D フライパンにCをのせ、ふたをしてごく弱火で25分焼き火を止め、5分そのままにして蒸らす
E 皿にのせ、アルミホイルを開けていただきます
(フライパンからアルミホイルを取り出す際は、フライパンが熱くなっているので火傷に注意してください)
 今回はさけにしましたが、白身魚や鶏肉、豆腐でも代用できます。上にのせる野菜は何でもいいですし、発酵食品のキムチを少しのせると、ピリッとして美味しいですよ。また豆腐の場合は、出来上がりに鰹節をかけると、これまた美味です。お試しあれ!


<効能>
 風邪を引いたときは、ウイルスと戦ってくれるビタミンCがたくさん必要となります。いも類に含まれるビタミンCは、でんぷんに守られるため、熱に強く栄養成分が壊れにくい性質があります。ねぎや生姜、にんにくなどの香味野菜は、体を温め発汗を促します。また、みそや醤油などの発酵調味料は、体を温める働きがあります。特にみそは大豆には含まれないビタミン類も含まれ、高栄養価の調味料といえます。
 さけに含まれるアスタキサンチンは
・抗酸化作用が高く、免疫力を高める
・ウイルスに対抗する
・網膜の血流改善
・ピント調節力を高める
・眼精疲労、老眼の改善
などの効能があります。


(まとめ)
 風邪とは、ウイルスなどの病原体の感染によって、咽喉や鼻などの上気道が炎症を起こした時の総称で、病名ではありません。9割はウイルスが原因で、その他は病原微生物や細菌、アレルギーなどが原因です。また、インフルエンザもウイルスが原因ですが、普通の風邪に比べて病状が重く流行性が高いため、別格に扱われています。風邪のウイルスを攻撃する薬はないのですが、インフルエンザウイルスには抗ウイルス薬があるので、受診の際には、インフルエンザの検査をしてもらうといいかも知れません。
 風邪予防に有効な生活習慣としては、風邪に対する免疫力をつけるため、日頃から栄養バランスのとれた食事を摂ることが大切です。また、睡眠不足や過労は免疫力の低下の原因になるので、睡眠や休養をしっかりとりましょう。風邪ウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。うがいは、口の中や喉についたウイルスを落とすとともに、乾燥しがちな喉の粘膜に潤いを与えます。また、手を石鹸と流水でよく洗い、常に清潔に保ちましょう。手洗いとうがいは、風邪予防の基本です。
 風邪は引き始めが肝心です。活動すると体内のウイルスが増殖するので、温かくして安静にし、出来るだけ体力を消耗させないようにしましょう。消化の良い栄養価の高い食事を摂り、脱水症状にならないように、こまめに水分補給して下さい。部屋の温度は20〜25℃、湿度は40〜50%に保ちましょう。
 では、次回もお楽しみに!!


★編集後記
 私は年に1度は必ず狂言の舞台を観賞しています。狂言師といって1番有名なのは野村萬斎(のむらまんさい)さん、人間国宝でもあるお父様の野村万作(のむらまんさく)さんでしょうか。野村萬斎さんは公文のコマーシャルに出ている人、もしくはシンゴジラの中の人といえばおわかりになるでしょうか。
 狂言の演目はわりと笑いで終わるパターンが多いのですが、先日観賞した演目はちょっと考えさせられる内容でした。あらすじは、吉野の里に住む盲目の男が、川上という所の霊験あらたかな地蔵に参詣し、目が開くように願い、地蔵堂に籠(こ)もったその夜、男は御霊夢をたまわり、目が見えるようになります。念願かなった男は、大喜びしますが、目をあけてもらうには条件があって、それは妻とは悪縁なので、すぐに別れなければいけないというものでした。その話を聞いて妻は絶対に別れないと言い、二人は連れ立って帰りますが、道の途中で夫の目は再び見えなくなってしまいます。二人はともに座って泣き、これも前世の因縁と思って嘆くまいと、手を取り合って帰ります。
 目が見えるようになり喜んだ勢いで杖を捨ててきてしまった夫が、目が見えなくなったとたんに杖を捨てたことを後悔し、そして妻に「手を貸してくれ」という最後の場面では思わず涙。目が見えることが幸せなのか、見えなくても幸せと思えるのか、とても考えさせられました。お話が作られたのはかなり昔だと思いますが、人間の滑稽さや苦悩や抱える問題はあまり変わっていないのかもしれません。
 皆さんもぜひ1度狂言を観賞されてみてはいかがでしょうか?(鈴木 智子)



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