あぁるぴぃJRPSちば会報135号


■ 投稿
リレーエッセイ(5)
【今日までそして明日から】
JRPSちば役員 江澤 正広
 私は気持ちが折れそうになったときは、シンガーソングライターの吉田拓郎が楽曲した「今日までそして明日から」を聴いて、平常心をとりもどしています。歌詞は、♪わたしは今日まで生きてみました 時にはだれかの力を借りて 時にはだれかにしがみついて わたしは今日まで生きてみました そして 今わたしは思っています 明日からもこうして生きてゆくだろうと…♪
 いつのころからだったろうか、この楽曲を心の支えに生きてきたような気がします。それは30代で見えるものすべてがぼやけるようになり、眼科を受診してRPと判明し、千葉大学付属病院で再検査を受けた結果「RPに間違いありません」と宣告されたときからだったのでしょう。
 この窮地をどうにかしようとJRPSに入会し、多くのみなさんに力をおかりししがみついてきました。
 今思い返せば、JRPSちばの役員の方に中古のパソコンを自宅に設置していただき、SPAN(スパン:視覚障害者パソコンアシストネットワーク)を紹介していただいたおかげで、メールの送受信ができるようになりました。また、仕事の継続が困難になってきたときには、東京都世田谷区にある「視覚障害者就労生涯学習支援センター」でパソコンの技能を習得できることを教えていただきました。
 私は視覚障害者就労生涯学習支援センターで、4か月のeラーニングコースを受講し、スクリーンリーダーを使ってワードやエクセル、インターネットを駆使して、ビジネス文章やデータの作成といったスキルを身につけたことで、視覚に障害があっても仕事の幅も広がり、休職することなく社員として必要な存在となり得ました。
 また、50代で障害年金を受給できたこともJRPSちばのおかげです。千葉市にある岩崎社会保険労務士事務所から、障害支援の専門家が集まり設立した「NPO法人みんなでサポートちば」の案内が届き、手続きいっさいをお願いしました。NPO法人みんなでサポートちばは、JRPSちば主催の「アイフェスタinちば」でも年金の個人相談を担当していただいております。
 このような経緯をへて、50代半ばで家族(妻と子ども二人)を守ることができたと確信し、精神的に安定しました。すべてはJRPSのみなさんにしがみついてきたことで、多くの障壁を乗り越えられたと感謝しています。
 これでハッピーエンドではなく、ここ一年ほどでだいぶ見えなくなってきました。JRPSが目指す「RP治療法の確立」も夢ではなくなりつつあります。また、見えなくなってくることから、不便さを解決するために会員からの情報が欠かせません。今後もJRPSのみなさんと支え合い、すべてをあきらめることなく希望を持ち続けたいと思っています。
 以下は、「今日までそして明日から」の歌詞の続きです。
♪わたしにはわたしの生き方がある それはおそらく自分というものを 知るところから始まるものでしょう けれどそれにしたって どこで どう変わってしまうか そうです わからないまま生きてゆく 明日からの そんなわたしです♪
 では、みなさんこれからもお力添えよろしくお願いいたします。




★ロービジョン川柳
担当 中野 早苗
 木曜日夜7時からTBSテレビで放映の「プレバト!!」という番組をご存じですか?
その中の俳句のコーナーが好きでよく見ています。いつでしたか、芸人の千原ジュニアさんの句がとても印象的でしたので、ご紹介したいと思います。
「春の駅 白杖の傷 おびただし」
 番組中、俳人の夏井先生から、「春の」という明るい季語と「白杖の傷」という生きることの厳しさとのコントラストがみごとに表現されていると、大変な高評価でした。
 私は、あまりに白杖の傷が気になると、白いテープで上からくるんで隠していました。白杖をこんなふうに感じてくださる方がおられると、心があたたまります。
 今号は見えないことの厳しさを、ユーモアでくるんだような作品が集まりました。どうぞお楽しみください。

ペンネーム(ザワザワ)
・駅ホーム 思い込みでの 落とし穴
【解説】
 駅のホームから転落したことがある経験からの一句です。多少見えてることからの思い込みで歩いていると、まさかの落とし穴が潜んでいます。「だろう歩き」(油断)から、「かもしれない歩き」(要注意)に変えてホームを安全に使いましょう。


・どこからか いってらっしゃい 朝の声
【解説】
 通勤で、職場の最寄駅から歩いているときのことです。いつも、同じ場所にさしかかると、ちょっと離れた場所から「いってらっしゃい」と毎日聞こえてくるのです。数ヵ月後、たまたますぐそばでその声がしました。その声はいつもマンションの前を掃除していた年輩の女性で、白杖を持って歩いている私に「いってらっしゃい!」と声掛けをしてくれていたのです。私は、すぐに数ヵ月分の感謝を込めて「いつもありがとうございます」とお礼を言いました。


ペンネーム(友酒)
・杖を振り 地を叩いて知る 季の変化
【解説】
 白杖を振ったり叩いたりして歩行していると、手に伝わる気温の変化や、地面の硬さなどが伝わってきて、季節が分かるように感じます。


・白杖の 傷が語りし 悪路かな
【解説】
 我が家の近くは凸凹や段差などの障害物が多く、最下段の赤い部分が傷だらけです。


・かじかむ手 ポッケ出し入れ 杖を振り
【解説】
 冬の朝は風が冷たくて手袋をしていても手がかじかむので、白杖を持つ手を右左交互に持ち替えて、片手をポッケに突っ込んで歩いています。


・眼の悪さ できないことが 増えて知り
【解説】
 道に迷う、落したものが捜せない、署名ができないなどなど。RPの進行により多くのことができなくなりました。
・わが人生 弱視と勘で 生きつなぎ
【解説】
 ここまで生きてこられたのは、若干残る視力と、危機を感知する第六感のおかげかと。


・爺さんと 声かけあるも 返事せず
【解説】
 白杖を持って街中をウロウロしていたら、私が困っていると感じた通りがかりの青年が、「おじーさん、お手伝いしましょうか」と声をかけてくれました。まだ若いと思っていた私は、自分のことではないだろうと返事をしませんでした。


・ごっつんこ 早く開けよ 自動ドア
【解説】
 せっかちな視覚障害者の友人は、自動ドアが開くのをまてずによく頭をぶつけます。なぜ開くまで待てないのでしょうか。ドアも場所によって感度がまちまちのようです。
 ご注意を。


投稿先 中野 早苗 Eメール:sanae403@y3.dion.ne.jp





★お役立ち情報(bQ6)
【視覚障害者総合支援センターちば 用具部】
(社福)千葉県視覚障害者福祉協会
用具担当 河野(こうの)さくら
 JR四街道駅北口からゆっくり歩いて5分「視覚障害者総合支援センターちば」の中に用具部があります。「視覚障害者総合支援センターちば」は、千葉県にお住まいの見えない・見えにくい方の社会自立を、総合的に支援している施設です。点字図書館、音訳、点訳、IT支援、生活支援、相談支援、同行援護事業所とそれぞれの部署に分かれていますが、用具部は各部署と連携を取り合い、皆さまに最善のサービスを提供しております。


 用具部は、補装具・日常生活用具・便利グッズの販売、あっ旋をしています。
◆補装具
 各種白杖を取り扱っています。
 体を支える杖(身体支持併用)、折りたたみ杖、シンボルケーン
 お見本がございます。白杖の選定はご相談ください。また、白杖の修理も承っております。(修理できない白杖もありますので、事前にご相談ください)



◆日常生活用具
 ブレイルメモスマート、シグナルエイド、タッチボイス、プレクストーク、音声・振動時計、音声電磁調理器、音声体重計、音声血圧計、音声体温計、電子ルーペ、拡大読書器、音声読書器、眼鏡装着型読書器、ワンセグラジオなど。
 お見本を揃えて皆さまのお越しをお待ちしております。電話・メールでのご注文も可能です。
 日常生活用具の給付は各自治体によって対応が異なります。住民票のある市町村の福祉窓口でご確認ください。



◆便利グッズ
 皆さまからのお声を反映してお取り扱いを始めた商品が多数ございます。
 パソコンのキーボードやスイッチなどの目印に便利な凸シールはとても便利と好評です。
 液体の溢れ防止と色認識ができる「みずいろクリップ」は体験をして購入ができます。
 キッチン用品は、定番の黒まな板、視覚障害者でも分かりやすい計量カップ、倒れてもこぼれない醤油差しなどのほか、音声で案内をしてくれるタイマー、クッキングスケールも人気商品です。



 規模は小さく一人でやっている売り場ですが、アットホームに皆さまに寄り添えることを心掛けております。取扱商品のカタログご希望は、墨字、点字、音声でご用意がございますのでお気軽にお声掛けください。
 以上、お問合せ、ご注文は
視覚障害者総合支援センターちば 用具部
電話 043−420−8763
Eメール yog@tisikyo.jp

★みんなの広場
 市原市で指圧師をしている坂本正治(まさはる)です。現在、正直申し上げると仕事も減り、このままでは本当にこれからのことを考えると気持ちが重くなってきます。私がお世話になっている事業所でも、毎年10月におこなっている利用者さんに対する秋祭りが一昨年と去年と2年連続で感染予防のために中止でした。
 また、私は定期的に通院しているのですが、2年前だったら病院の帰りに外食をしていましたが、去年から一度も外食はできませんでした。これは去年の話ですが、「今年いっぱいは我慢してください。利用者さんも高齢の方もいて、万一感染者が出ると事業所も運営ができませんから」と言われましたが、確かに私もほかの方に迷惑をかけてまで外食を希望していませんので、ただただ早く年が明けることを祈っていました。
 今年になって、また感染者が増えてきました。ヘルパーさんからも「年が明けても感染者が増えればいつまで経っても現状維持で、外食はできないよね」「少しぐらいおおめに見ても良いのでは?」と言われましたが、私ひとりの我がままで誰かが感染したら責任はもてません。私が聴いているラジオでも、またテレビなどでも、有名人が少しずつ呟き始めているそうですが、「今の世の中あまりにも神経質になり過ぎているのでは?」との話です。多くの方が不安な気持ちで生活されていると思います。
 私の心の支えになった言葉で「人間は、生きていれば必ず辛いことに遭遇する」というのがあります。これはジャンプする前の状態と同じといいます。人間は、ジャンプする前に一度 低くしゃがまなくてはいけません。そのときにより低くしっかりと足で地面を踏みしめれば、ジャンプするときに、さらに高くジャンプできるといわれています。だから、あともう少し耐えてジャンプするときを待ってください。最高のジャンプができると思います。


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