あぁるぴぃJRPSちば会報159号
■ 投稿コーナー
★ロービジョン川柳&俳句
担当 中野
「健全なる精神は、健全なる身体に宿る」。
これは古代ローマの詩人の格言だそうです。私たちは身体障害者ですが、健全な心を持っていれば、失った視覚をも補えるのではないかと、川柳や俳句の作者から学ばせていただいています。投句された作者の「心」を味わい、次はぜひご自身で投句をお願いいたします。
次回は8月号。季語は「夏」です。
☆ロービジョン川柳
ペンネーム:こもんかもん
・人見知り 見づらくなって 忘れてた
【解説】
初対面の人に声をかけるのは苦手でしたが、人に尋ねないとわからないことが増えて、つい人に声をかけるようになりました。「人見知り」ではなくなったようです。
ペンネーム:友酒(ともき)
・夢に出る 父も自分も 晴眼者
【解説】
父もRPでしたが、夢の中では晴眼者になっていました。
・白い靴 白い衣装の 後を追う
【解説】
視野も視力も悪いので、識別しやすい白いものを目印として歩いています。白色フェチでしょうか。
・見え方は モネの絵のごと 変化をし
【解説】
見え方は歩いた時や季節によって変化します。まるで、モネの「蓮池」の絵のように。
☆俳句
ペンネーム:秀坊(ひでぼう)
・今朝の春 白米ありて 足るを知る
(けさのはる はくまいありて たるをしる)
【新年の季語】 今朝の春
白い御飯を食べられて幸せ。
戦後80年、世界では戦争・紛争・差別・対立が激化。国内でも毎年のように起こる災害・物価高。毎日が安心して暮らせる社会であってほしいと願うのは私だけでしょうか。
・摘みたての 花菜一輪 産院に
(つみたての はなないちりん さんいんに)
【春の季語】 花菜
娘の名前は恵里菜。菜の里(なのさと)に生まれ、たくさんのことに恵まれ育ち、愛されるような子に育ってほしいと一輪届けました。
ペンネーム:卯ノはな(うのはな)
・紙風船 半分吐息で 飛んでいる
(かみふうせん はんぶんといきで とんでいる)
【春の季語】 紙風船
紙風船、風船は春の季語です。季節に関係なく手に入るので、なぜ季語なのか不思議です。柔らかいイメージが春を思わせるからでしょうか。紙風船は手のひらでポンポンと弾ませて遊びますが、吐息が入っていれば憂鬱な気分が力になって、飛ぶかもしれません。
・とんぷくの ぷくにやさしさ 春の風邪
(とんぷくの ぷくにやさしさ はるのかぜ)
【春の季語】 春の風邪
「風邪」は冬の季語で、「春の風邪」は春の季語です。歳時記には、春の風邪は冬より軽く済み、重症にならないと書いてあります。
「とんぷく」の響きが好きで、詠んでみました。ぷくというと、幸福の「福」を思わせるようで、治りますようにという気持ちが込められているようにも感じます。
問い合わせ先 中野 senryuu@crp.jp
★お役立ち情報@
◆千葉大ロービジョンケア講演会レポート
本多 裕二
2026年2月1日、千葉大学医学部附属病院でロービジョンケア講演会が行われました。今回は、仲泊 聡先生の「ロービジョンケアの真髄」というテーマでの講演内容をレポートいたします。
仲泊先生は公益社団法人NEXT VISIONの代表理事であると同時に眼科医でもあり、ロービジョンケアの第一人者としてご活躍されていらっしゃいます。今回のご講演ではロービジョンケアの意義と、網膜色素変性症を中心とした最新の医療研究の動向について、分かりやすくお話しいただきました。
現在、網膜色素変性症に対して保険診療として確立されている治療はルクスターナと呼ばれる遺伝子治療薬の投薬治療のみです。この治療は「RPE65」という特定の遺伝子変異を持つ患者が対象で、比較的若年期から症状が進行するタイプの方に多いとされています。報告では、投与によって夜盲の改善がみられた例もあるとのことです。
一方で、ルクスターナによる治療の費用は片眼あたり約五千万円と非常に高額であり、すべての患者さんに適用することは医療財政上きわめて難しいという課題もあります。対象となる遺伝子が限られていることからも、すべての患者が受けられる治療ではありません。
続いてiPS細胞を用いた網膜シート移植による治療の話です。この治療についても研究が進められています。現在、先進医療としての民間の保険適用を目指し申請中とのことです。ただし、これもすべての網膜色素変性症患者が対象になるとは限りません。患者の網膜の状態によって対象となるかどうかが分かれるということです。
網膜色素変性症は、網膜色素上皮と言われる網膜の部分と、光を感じる視細胞と呼ばれる二つの機能が失われることで視力と視野が低下していきます。そのため、網膜シートを移植しても視細胞が失われている場合は効果が見込めません。現在はこの視細胞の移植についても研究の再開準備が進められており、1・2年後には形になると言われています。網膜シートと視細胞の両方の移植については、5年から10年後くらいと言うことです。
続いて、再生医療の話になります。現在、慶應義塾大学で光遺伝学を用いた視機能再生の研究が進められています。キメラロドプシンというたんぱく質を作る改良遺伝子を眼の中に注射して、光を感じる機能の回復を目指すものです。これは、全盲に近い状態の患者さんが光を感じ取れる(光覚弁・こうかくべん)状態まで回復することを目標とした研究です。
余談ではありますが、現在、光覚弁(こうかくべん)以下の方を対象として治験者を募集していると聞いています。ご興味がある方は慶應義塾大学病院にお問い合わせくださいとうかがっております。
遺伝子治療については、現時点では見込まれる治療の効果は限定的ですが、将来的には未然に発症を防ぐことが実現できるはずだと先生はおっしゃっていました。
人工網膜の研究は、かつて世界的に進められていましたが、現在は多くのプロジェクトが中止となっている状況です。ヨーロッパでは研究が継続されている例もあり、視力0.04程度の回復が見込まれるという報告もあります。また、アメリカでは実業家のイーロンマスク氏が関わる脳インプラント技術による視覚再生研究も進められていますが、詳細な臨床応用の状況はまだ明確ではないとの事です。
講演では、視力や視野の状態による生活への影響についても解説がありました。求心性視野狭窄では視野が徐々に狭くなり、移動に支障が出やすいと言われている一方で、文字は補助具などを活用すれば読める場合が多いとのことです。中心暗転では周囲は見えるため移動は比較的可能だが、中心が見えにくいために文字を読むことが難しい傾向があるとのことです。
視力0.1程度あれば文字を読める可能性があるとも言われますが、実際には視野やコントラスト感度の低下など、さまざまな要素が関わり合うことで日常の生活に影響を及ぼします。視力や視野が低下した中でも、補助具や歩行訓練、環境調整などを活用し、社会生活を継続できるよう支援するのがロービジョンケアです。
近年はテクノロジーの進歩により、スマートフォンやPCの音声読み上げ機能を用いて操作したり、AIによる画像解析を用いた状況説明、ビデオ通話による視覚支援、生成AIによる情報提供など、活用できる手段が格段に増えています。医学的な治療には制約や限界がある中で、患者の社会的な生活をどう支援していくかという点でロービジョンケアは非常に重要な要素です。現在は、患者からのさまざまな質問に対して生成AIが正確に回答できるようにする研究も進められており、将来的には24時間いつでも相談できる体制の構築も期待されています。
最後に、遠い未来の構想として、カメラや超音波センサーを搭載した義眼や、振動デバイスなどを組み合わせることで、新しい「人工知覚」を実現する可能性についても言及がありました。実現には長い年月を要するかもしれませんが、医療・工学やAI技術の進歩によって、視覚障害の在り方そのものが変わる時代が来るかもしれません。
以上、私が記憶している範囲での仲泊先生のご講演内容になります。医療の現場と、ロービジョンケアの重要性を知ることができたとても素晴らしい講演でした。
★お役立ち情報A
◆「第4回 千視協 視覚障害者向け福祉機器展」開催のお知らせ
(社福)千葉県視覚障害者福祉協会 用具部 河野(こうの)さくら
毎年ご好評をいただいている福祉機器展を、今年も開催いたします!
おかげさまで第4回目の開催となり、「今年も楽しみにしていました!」という嬉しいお声も増えてきました。
今年は、視覚障害のある方も楽しめるeスポーツ体験コーナーをご用意!毎年恒例のキッチンカー、ヤクルト販売も参加予定です。
さらに、例年人気の盲導犬の紹介コーナーや、話題の歩行支援機器の出展も予定しており、見て・触って・体験できる内容が盛りだくさん!
会場では、
・初心者向け iPhoneの使い方体験相談
・日常生活に関する生活支援相談
・20社以上の視覚障害者向け福祉機器メーカーによる展示を実施します。
話題の音声タイマー(タニタ)や、アイディア次第で生活の幅が広がる触図筆ペン「ラピコ」、開発段階の暗所視支援機能付き 眼鏡型拡大読書器など、各メーカーの最新機器を実際に手に取って体験できる貴重な機会です。
「見るだけ」「相談だけ」でも大歓迎!
日常生活をちょこっと便利にするヒントが見つかるかもしれません。
用具部では、便利グッズの販売、会場で気に入った商品の申請のための見積書作成も承ります。
ご家族やご友人とお誘いあわせのうえ、ぜひお気軽にお越しください!
【日時】2026年4月18日(土)11:00〜15:00
【会場】 視覚障害者総合支援センターちば
予約不要・入場無料です。
お問い合わせは
用具部 メール:yog@tisikyo.jp Line:
пF043−420−8763
(土日祝祭日お昼休みを除く10:00〜16:00)
★みんなの広場
「親切な人々」
流山市 F?K
2年前に北陸の小さな町から移って来ました。孫の世話を頼まれたのがきっかけです。便利になるし雪もないと引き受けましたが、来てみると予想もしない発見がありました。親切な人が多いのです。道を一緒に渡ってくれる、電車で席を譲ってくれる、乗換えに付き添ってくれるなど、それまで経験したことがなく、最初は正直、戸惑ったほどでした。
先日、帰省を兼ねてかつて通った眼科を訪ねました。新幹線を降りた後は初めてバスで行く、ちょっとした旅気分です。改札を出ていつもとは反対に東口へ。エレベーターは確かこの辺と立ち止まった時、通り過ぎた女性がふっと引き返して「その先ですよ」と教えてくれました。お礼を言って、はっとしました。こんな事、こちらでは前にはなかったが…。
駅を出ると、女性二人が「バスでしょ。こっちよ」と寄り添ってくれ、バスのドアが開いた瞬間、今度は背後から「さあー乗った乗ったー」と男性の声がして、いきなりステップへ抱き上げられました。「いやここ出口でしょ。整理券ないと!」。慌てて降りようとしましたが、「いいからいいから」と男女三人がかりで押し留められ、そのまま乗車することに。運転手も特に気にする様子はなく、眼科の向かいで降りる時には、「ここ横断歩道ないですよ。渡れますか」と気遣ってくれました。
郷里でも人の親切は同じだったのだと、ようやく気が付きました。これまで声を掛けられなかったのは、私は大丈夫と、知った道だけを歩いていたからに違いありません。随分と回り道をして辿り着いた「新発見」です。2年で目の症状はかなり進みましたが、これでまだしばらくは一人でも行き帰りできそうです。
目次へ戻るAll Rights Reserved Copyright (C) JRPS Chiba 2003-2025
All Rights Reserved Copyright (C) JRPS Chiba 2003-2026