「定例交流会 in 北九州」での質疑応答の概要


 去る3月13日、北九州市「ウエル戸畑」で開きました北九州地区の定例交流会では、「進行する目野病気との付き合い方」と題して、産業医科大学眼科学 準教授 近藤寛之 先生の講話及び参加者との質疑応答を行いました。
 近藤先生には一昨年の第10回「患者のつどい」でも「網膜色素変性症の遺伝について考えよう」と題した講演をして頂きました。

 本日の講演の内容はJRPSへの感謝の言葉で始まり、東北・関東大震災の直後でもあり、その大震災の被害を受けられた方々の気持ちと色素変性の患者さんの方々の気持ちとを関連付けられて話は進められていきました。

 ここでは当日会場と交わされた質疑応答の内容の一部について簡単にまとめてみました。


 (質問) 九大病院の遺伝子治療が厚労省で審査がやっと開始されたということは我々患者にとっては朗報なのですが、このような研究の事もあり、我々患者の多くが九大病院に通院しております。そこで質問なのですが北九州地区で産業医科大学病院以外で色素変性を定期的に診察・診断されている大きな病院はあるのですか。

 (回答) 九大の遺伝子治療研究は色素変性の患者さん方には大きな希望だと思いますが、まだ時間がかかりそうなので、それまでの治療として暗い所で見やすくするアダプチノールなどの服用がいいのかも知れません。また、まだ治験中なのですが、ウノプロストンという薬は色素変性の進行を抑制し網膜の働きを活発にする効果があると言われていますので、今後期待できる可能性がある点眼薬だと思います。また、色素変性の診断や経過観察は北九州地区の大きな病院ではほとんどの所で行っていると思います。

 (質問) 色素変性という病気は発症する年代は20才位であったり、40才位であったり様々だと思いますが、先々発症するかしないか子供の頃、例えば5・6才位の時に眼底の検査をすればわかるのでしょうか。

 (回答) 色素変性という病気は暗い所で見えにくくなり、少しずつ視野が狭くなって行くものなので、その初期状態の時は眼底を検査しても症状は現れていない場合が多いのです。なので、網膜が光を感知する能力を検査する網膜電図(心電図のようなもの)という検査の方に早く表れてくるのです。そこで、子供の時、正確に検査をしたいのであれば遺伝子診断が有用なのですが、まだ、この病気には確立されていません。

 (質問) 私は色素変性と緑内障があり、最近白内障が進行し主治医の方から随分雲ってきたねと言われましたので、白内障の手術をしようか迷っておりますが、先生から「あなたは前房が浅いので、手術をした場合、緑内障の発作を起こしてしまう危険性があるのでしない方がよいでしょう」と言われました。しかし、もう一人の先生に診断して頂いたら「今なら大丈夫、緑内障の方も心配しないでもよいですよ。」と言われました。なので、どちらの先生を信じたらいいのか本当に迷っております。先生のご意見をお聞かせください、お願いいたします。

 (回答) 緑内障だけなら前房が浅くても早目に手術をした方が眼圧のコントロールもしやすいという考え方も最近は多いようです。でも、色素変性の場合はいろいろな考え方があり、手術後の経過も様々なので、その意見は真っ二つに分かれるのではないかと思います。なので、主治医の先生の意見を信じた方が良いかも知れませんね。

 (質問) 本人に眼病の自覚症状がある場合、ERG(網膜電図)で検査すれば色素変性かどうか診断できるのですか。

 (回答) 網膜電図だけでは網膜の働きが衰えていることは分かるのですが、色素変性と診断するためには眼底検査をする必要があります。

 (質問) 私は30年前にERG(網膜電図)の検査を受けたのですが、とても苦痛だった記憶がありますが、現在はどこの病院でも検査することが出来るのですか。

 (回答) 大きな病院ではほとんど、そして開業医の病院でも半分くらいの所で検査することが出来ると思います。また検査は最低20分、暗い所で横になり、その後コンタクトレンズを装着し、光をあてて網膜の光に対する感度を検査するもので、簡単な検査です。
 (文責 三小田)


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