あぁるぴぃ広島 創刊号


■広島支部設立に寄せて■

   広島県立広島病院 長谷部浩之

私は、県立広島病院に勤めております、長谷部です。
JRPSの会報から、どんど ん新しい情報が皆様に届いていますので、何も研究を していない私自身には、特 別のネタはありません。
それで、全て受け売りですが、 比較的最近の眼科の雑誌 から関係するものを紹介さぜていただきます。
ほんの少し前まで、網膜色素変性症(以下RP)の原因は、 全て、遺伝子の異常 によるものと信じていました。事実、今日では 15以上の遺伝子がRPをおこすこと が明らかにされていますし、そのひとつの遺伝子の どの部分が変化しているか、で 病像が異なることも知られています。
RPの多様性、まるで、ひとり一人が別の病気であるか のように思われることも、この遺伝子の複雑さで説明 出来ると考えてい ました。ところが、臨床的にはRPとしか診断しようの ない症例の一部に、網膜を構 成する視綱飽の蛋白であるリカバリンに対する 免疫反応が認められることが報告 されました。つまり、RPの一部は自己免疫疾患であるか もしれないのです。リカバ リンについては、多くてもRPの2%ですが、視細胞を 構成する蛋白は沢山あります ので、免疫の活動性を持っている方は、この何倍にも なるかもしれません。実は、 正常眼圧緑内障の原因にこの自己免疫が注目されて います。
医学はどこかにきっかけが出来ると、すぐ飛ぴ火して いきます。思わぬ所から突 破口が出来る可能性があります。注意して、期待して、 目を見開き、耳をすませて いきたいと思っています。


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