あぁるぴぃ広島 12号


■巻頭言■

「歩行訓練で得た技術と勇気」
  広島県支部 幹事(HP担当) 広島市佐伯区 永井 美佐

 新年、明けましておめでとうございます。
 21世紀の幕開けから早くも4年目を迎えました。年々、1年のサイクルが早くなっ ている気がするのは年のせいでしょうか?(笑)
去年も色々なところへ出かけて行 き、ネットで知り合ったたくさんの人たちと 交流することができ、とても充実した1 年を過ごすことができました。
 私は10年前に病気を宣告されて、夜、一人で出歩くということができなくなりま した。暗くなると全く見えなくなり怖くて歩けませんでした。広島市では視覚障害者 の歩行訓練をしてくれるという情報は知っていましたが、昼間はまだ一人でなんとか 歩けていたし、自分にはまだ訓練は必要ないかな、などと自己診断をしていました。 それでもだんだんと一人で外出する回数が減り、近所はどうにか出歩いていました が、バスに乗るのも怖くなり誰かと一緒じゃないと遠くに行かなくなっていました。
一番下の子が幼稚園に入り、一人の時間が持てるようになってふと歩行訓練のことを 思い出し、問い合わせしたところ、「今申し込んでも訓練の開始は早くても半年後で す。」との答えだったのですが、とりあえず申し込みました。その間、訓練士さんが 面接に自宅を訪問してくれ、「少しでも見えているほうが訓練も楽ですよ。」と言わ れ、申し込みから半年後、歩行訓練が始まりました。
週に1回、2時間の訓練で最初 の3ヶ月は杖の振り方、地図のインプットの仕方、階段の上り下り、横断歩道の渡り 方など、基本を学びました。それからは自分の行きたい場所を何回も何回も訓練し、 バスや電車の乗り降り、切符の買い方、エスカレーター、エレベーターの乗り降りな ど、こと細かく指導していただき、一人でためらうことなく外出することができるよ うになりました。
 歩行訓練をうけたことで一人で行きたいところに行ける、見えなくてもスムーズに 歩ける、ということがこんなに嬉しいものなのかと感じています。それから何よりも 大きな「勇気」を得ることができました。やればできる。やってみればなんとかな る。困ったときのことを不安がるのではなく、困ったら絶対に助けてもらえる、とい うことも痛切に感じました。
中途の視覚障害者の誰もが白杖を持つことをためらいま す。もちろん私もそうでした。でも今ではこの白杖のお蔭で誰からも声をかけてもら えて助けてもらえて、白杖ってこんなに素晴らしいものだったんだ、と思っていま す。もし、ほんの少し自分も勇気を出してみようかな、と思われたならためらわずに 実行してください。恥ずかしさよりも数倍の喜びがきっと得られると思います。

 ともに素晴らしい1年になりますように・・・



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