あぁるぴぃ広島 33号


■情報コーナー■

ニューロテックNT-501,網膜色素変性に対する第2相臨床試験で視細胞への生物効果が確認される
5月28日,ロードアイランド州リンカーン発 ? 

本日,ニューロテック・ファーマスーティカルズ社は,同社の臨床前製品NT-501が2つの網膜色素変性症(RP)第2相試験で強力な生物効果を示した,と発表した。
RPは網膜の杆体,錐体とよばれる視細胞が徐々に変性する疾患である。患者は年齢とともに夜間視力が減少し,また周辺視野が消失して,最終的には失明に至る。今のところ確立した治療法がない希少疾患である。
2つの臨床試験では,視細胞を含む網膜の厚さを光干渉断層計(OCT)で測定した。その結果,統計学的に有意で(各臨床試験の高濃度群においてp< 0.001),容量依存的な増加が認められた。同様な効果は,最近終了した萎縮型加齢黄斑変性(AMD)による地図状萎縮患者に対するNT-501の第1相臨床試験でも観察されている。後者の結果は,2009年3月26日,ニューロテック社によりに発表された。同社はこの効果が神経保護作用によると見做しているが,同様な結果は動物実験でも示されている。
NT-501は眼内インプラントで,毛様体神経栄養因子(CNTF)を分泌するよう遺伝子改変したヒト由来細胞を封入してある。CNTFは成長因子の1つで,死にかけている視細胞を救済,保護する作用がある。同社独自のカプセル化細胞技術(ECT)により,制御可能かつ持続的な方法で直接後眼部に供給される。ECTを用いることにより,網膜疾患治療における主要な障害のひとつである血液−網膜関門を回避することができる。
2つのRP第2相臨床試験はNT-501の安全性と有効性を評価するため,多施設,無作為抽出法,二重盲検法,偽投与法,多容量投与法に基づいて実施された。第1の臨床試験は65人の後期RP患者(視力:0.06〜0.3)を対象に,第2の臨床試験は67人の早期RP患者(視力:0.3以上)を対象に実施された。どちらの試験でも,被験者の片眼に高濃度または低濃度CNTFのNT-501インプラントが挿入された。対照として反対眼にシャム手術(山本注:手術のフリをする場合と,空のインプラントを埋め込む場合と2種類ありますが,どちらかはこのプレスリリースからは不明です。危険性を考えると前者とは思いますが。)が実施された。
主要評価項目として,後期RP患者では矯正視力を,また早期RP患者では視野感度をそれぞれ測定した。術後12ヶ月の時点では,どちらの試験でも,矯正視力,視野感度とも改善の兆候は見られなかった。疾患が緩徐に進行するためかもしれない。一般にRP患者の視力は数年から数十年にわたって緩かに低下する。今後さらに6ヶ月から18ヶ月間にわたって経過観察が実施される予定である。NT-501インプラントに伴う重篤な有害事象は観察されず,またNT-501もインプラント手術も安全であることが確認された。
「RPなど視細胞変性疾患の症状はCNTF投与で改善される可能性が高い」とポール・シービング博士(アメリカ国立眼研究所部長,ニューロテックNT-501 RP第1相臨床試験担当主任研究員)は語った。「今回の試験はこの分野の研究をさらに前進させる上で重要な意義がある」「NT-501治療でみられた生物学的変化が,今後視機能改善に結びつくことが期待できる」とデービッド・バーチ博士(南西部網膜財団理事長,RP臨床試験の指導的研究者)は述べた。
「しかし,この疾患は進行が遅いため,12ヶ月という比較的短期間では,非処置眼を上回る視機能改善は見られなかった」とバーチ博士は付け加えた。
「今回の2つのRP第2相臨床試験でCNTFの生物効果が確認され,とても有望だ」とテッド・ダンス,ニューロテック社社長兼最高経営責任者は論評した。「今回の試験に参加した患者の追跡調査を継続する予定で,また今回の試験結果と今後の臨床開発の手続きに関して食品・医薬品局(FDA)との協議を計画している」とダンス氏は付け加えた。
「今回の2つの臨床試験で,NT-501治療が網膜で明らかな生物効果をもたらしたことを喜んでいる」「この臨床試験の最終段階ではすべての情報が収集され,NT-501治療による視機能の保全が証明されることが期待できる」とステファン・ローズ博士(失明撲滅財団主任研究官)は言明した。「NT-501および革新的ECT技術に対して長期研究資金を提供したことを大変誇りに思っている」 今回の2つの臨床試験では,合計25個のNT-501が12〜24ヶ月で経過観察目的で取り出された。どのNT-501も,細胞はみな元気で生き生きとしており,治療目的に十分な量のCNTFを産生し続けていた。これまでに何回もNT-501試験が実施され,合計40個のNT-501が6〜24ヶ月で取り出されているが,すべて元気で生き生きしたCNTF産生細胞を保持していた。今回の結果はこのデータとも合致している。
「ECTプラットフォームを使って,安定的かつ持続的に,また制御可能なかたちで,さまざまな治療用物質を目的の場所に供給できる事実にとても感動している」とダンス氏は言った。「今回のRP患者への応用に加えて,萎縮型AMDによる地図状萎縮をNT-501で治療する方法を精力的に開発中である。
さらに滲出型AMDの治療に関しては,第2の臨床前製品NT-503の第1相臨床試験を本年後半に開始する計画である。滲出型AMD原因物質として十分検証済みのVEGFの作用をNT-503は抑制する。現行の滲出型AMD治療計画では毎月注射をしなければならず,また綿密に患者の検査を続行しなければならない。NT-503を用いると12〜18ヶ月間に1度投与するだけでよいかもしれない。」最後にダンス氏はこのように述べた。

網膜色素変性(RP)について
網膜色素変性(RP)は遺伝性の疾患で,網膜内の杆体,錐体とよばれる視細胞が徐々に変性し,最終的に視力を失って盲目となる。RPは主に若年成人に発症し,米国では約10万人,全世界では100万人以上が罹患している。現在,治療法や効果的治療薬はない。

NT-501について
ニューロテック社の主力製品NT-501はヒト由来細胞を封入したカプセルでできており,細胞は毛様体神経栄養因子(CNTF)を分泌するように遺伝子改変されている。 CNTFは成長因子の1つで,死滅しつつある視細胞を救済し,変性を防ぐ作用がある。NT-501はCNTFの必要量を眼球深部まで持続的に供給するよう設計されている。

カプセル化細胞技術(ECT)について
ニューロテック社のコア技術プラットフォームはカプセル化細胞技術(ECT)である。この独創的技術により,さまざまな治療物質を長期かつ持続的に眼球深部に供給できる。ECTインプラントには,遺伝子改変で特殊な治療用タンパク質を産生するようになった細胞が入っており,中空線維でできた半透膜のカプセルに封じ込められている。半透膜の拡散特性は細胞の長期生存を促すよう設計されている。半透膜は酸素と栄養物の流入を維持する一方,カプセル内の細胞と免疫系の細胞・分子が直接接触するのを防いでいる。細胞は治療用タンパク質を持続的に産生し続け,タンパク質はECTから眼内の標的部位に拡散する。ECTによる治療では,血液−網膜関門を回避して直接眼球深部に治療用物質を供給でき,しかも制御可能かつ持続的に供給できる。

ニューロテック・ファーマスーティカルズ社について
ニューロテック社は慢性網膜疾患患者のため視覚保護治療製品の開発を行っている。NT-501は同社の主力臨床前製品である。現在,進行した加齢黄斑変性(萎縮型AMD)および網膜色素変性(RP)の治療に向けた臨床開発の後期にある。同社の製品候補ポートフォリオには滲出型AMD治療用の製品も含まれる。ニューロテック社のすべての開発プログラムは同社独自のカプセル化細胞技術(ECT)を基盤にしている。ECTという独自な技術により,生物活性物質を直接眼球深部に制御可能かつ持続的に供給できる。これにより,現在網膜疾患治療で障害となっている主要な要因のひとつを除去できる。
詳細は以下のウェブサイトを参照のこと
http://www.neurotechusa.com


戻る     次へ