あぁるぴぃ広島 Vol.4


■情報コーナー■

3 新聞記事から

■点字毎日 3月24日
 色素変成症を多角的に討議   8月に千葉で網膜世界会議
 日本網膜色素変成症協会(JRPS 釜本美佐子会長)主催の「第12回国際網膜 世界会議」が、今年8月3、4の両日千葉で開かれる。38か国から患者や医師ら約 千人が参加し、最新の治療法のほか、視覚障害者のリハビリテーションをテーマにシ ンポジウムが企画されている。
 国際網膜協会は、色変やアッシャー症候群、加齢黄斑変成症などの網膜変成疾患を 持つ患者と研究者、支援者で組織し、2年に1度の国際会議を開いている。人工網 膜、網膜再生、遺伝子治療、網膜移植などの最先端の治療法の発表や情報交換が行わ れるほか、視覚障害者、盲聾者のリハビリについても検討される。
 同会議開催はアジア、オセアニア地区では初めて。主催者では、欧米に比較して遅 れがちな病気への啓発にもつなげ、さらにIT利用を促す取り組みにも力を入れる考 え。
 申し込み受付中。一般の参加費は1万円(4月30日までは8千円)。
電03ー3834ー7045の実行委。


■ 日刊工業新聞2001年12月21日
 人工眼・人工網膜  夢を現実に 新世紀の先端技術 失った光を取り戻す 電子技術と生命科学融合  人間は生活するなかで触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅(きゅう)覚を駆使する。
この中で大きな割合を占めるのが視覚だ。しかし、事故のほか糖尿病や緑内障などの 病気や加齢で視覚を失う人も多い。こうした人たちになんとか、再びある程度の視覚 を回復させようとさまざまな研究が進んでいる。この中で最も早期に実用化されそう なのが電子技術と生命科学が結びついた人工眼だ。米国では実際にヒトに応用例も報 告され、日本も人工眼の研究開発では実績を上げている。失った光を取り戻す−。そ んな失明者の夢を現実にする最先端技術が実用化される日は遠くなさそうだ。
 日本に30万人、現在、世界におよそ4000万人、日本だけでも30万人といわ れる失明者が存在する。しかし、不幸なことにこうした失明者を満足させるような治 療法は存在しない。つまり、一度視覚を失うと、人は二度と光を取り戻せないのだ。 さらに、視覚は人の体内時計を安定させて動かす機能を担っているために、視覚を失 うと、例えば自律神経の働きがおかしくなるなど、さまざまな疾患を引き起こす。
 失明者を救おうと視覚再生の研究は古くからなされているが、数億もの細胞が集ま り、複雑に神経が張り巡らされている目の移植の実現は難しく、まだ「未来の技術」 だ。
眼球に装置埋め込み 人工の電気信号、脳に伝達
 そうした中で実現が期待されているのがエレクトロニクスを利用した人工眼。ヒト が物を見るときは、水晶体を通して網膜に入ってきた光、すなわち画像を網膜内部で 微弱な電気信号に換えて神経細胞から出力、視神経を通じて大脳の視覚野に伝達され る。このシステムを利用し、人工的に電気信号を発生する装置を眼球などに埋め込 み、脳に信号を伝達させようというものだ。
 網膜から大脳に至る視覚路のどこかに微細なフォトダイオードなどを搭載した電子 回路搭載マイクロマシン(MEMS)を設置。MEMS は光や外部信号に対応し電 気パルス信号(電気的刺激)を発生する。この信号を大脳に伝えることで失明者に光 を感じさせようというのが人工眼の基本的な考え方だ。開発が活発なのは、外部の コーグルなどを搭載した小型カメラ(CCD など)で画像を取り込み、これを電気 的に処理した画像データを無線・有線で MEMS に伝送し、MEMSが伝送データ に応じて信号を発生させる。外部カメラなしに直接網膜部分に入射した光に反応し電 気パルスを発生するタイプもある。まずは電光掲示板的レベルの再生目指す。
 MEMS をどこに設置するかで人工眼はタイプ分けされる。眼球内に埋め込むも のは網膜刺激型人工眼もしくは人工網膜と呼ばれる。眼球と視覚中枢を結ぶ視神経刺 激型人工眼、大脳視覚野に埋め込むものは脳内刺激型人工眼という。人工網膜では視 神経の機能が必要で、網膜の異常(疾患)で視覚を失った場合にのみ適用できる。
 視神経刺激型は大脳視覚野までの視神経機能が働いていないと使えず、また脳内に 人工物を埋め込むという安全性の問題がある。脳刺激型はすべての失明疾患に対応す るが、やはり脳に人工物を入れるという問題が大きい。
 現在開発が進められている人工眼は、「電光掲示板的に見える」レベルの視覚再生 を目指したもの。ある程度の光ドットマトリクスが点滅することで物の有無、大まか な形状を把握するだけだが、これだけでも失明者にはその効用は大きいという。この 次のステップとしてより分解能の向上、視野角拡大、色認識など進歩していくことが 予想される。
海外でも研究成果続々
 具体的な開発例としてはマサチューセッツ工科大学(M I T)とハーバード大学 は電気刺激を出す電極アレイを作製。ヒトの眼球に埋め込み電気刺激し、被験者は光 を感じたと報告した。また、米リヨンホプキンス大学では5×5マトリクスの電極ア レイを作製、ヒトの眼球内に埋め込んだ。刺激した結果、やはり被験者は光を感じた という。
 独チュービンゲン大学では外部カメラを用いない人工網膜の開発を進めている。 同大のエベルハルト・ズレンナー教授は網膜下マイクロフォトダイオードアレイ(M PDA)を開発し、動物実験を行なっている。MPDAは直径数ミリメートル、厚さ 50マイクロメートルの円形または正方形。シリコンチップ上に数千個のマイクロ フォトダイオードがあり、それぞれその先端に金または窒化チタンの微小電極を持 つ。水晶体などを通しMPDAに到達した光は、フォトダイオードに入射し、MPD Aは電極から微弱な電気信号を出す仕組みだ。
名大 ヒトの細胞を培養 電極と神経、直接接続
 国内でもユニークな研究が進んでいる。名古屋大学のハイブリッド型人工網膜は世 界的にも注目される技術だ。人工網膜の電極上にヒトの神経細胞を培養し、電極と神 経ニューロンを直接接続しようというものだ。
 ドナーから採取した神経細胞を電極上で培養した後、移植する。ある程度視覚路に 障害があっても利用できるメリットがある。しかし、培養技術や移植技術が難しく、 実現までは時間がかかりそうだ。
 新たに人工眼の本格開発に乗りだしたのがニデック(愛知県蒲郡市)だ。眼内レン ズや眼科・皮膚科向けの医療器具などのメーカーとして成長してきた同社は、人工眼 開発を決意。新エネルギーの産業技術開発機構(NEDO)の「人工視覚システムの 研究開発」プロジェクトに応募、委託先に選ばれた。これに合わせて8月に視覚研究 所在設立、名古屋大学でハイブリッド型人工網膜を研究していた八木 透氏を所長に 迎えた。
 同社ではまず、外部カメラと人工網膜を利用した人工眼システムの開発に着手す る。外部から画像信号とMEMS駆動用電力を供給し、MEMSで神経パルスを発生 させるシステムだ。5年内に動物実験を終え、10年後にはプロトタイプを完成させ る計画で臨む。

可能な限り小さく 開発の課題は電力供給
 開発課題としてはまず電力供給。光か電波として眼球内に設置したMEMSに供給 する。また、電極で発生させるパルスもどのような形状にするのか、同程度のパルス 幅にするかも難しい。これはMEMSの設置位置、網膜細胞との密着性、患者の違い などさまざまな要因が影響し合ってくる。特に、いかにMEMSを眼球内に固定し、 密着性を出すかは消費電力に大きく影響する。消費電力は可能な限り小さくしたいた め、大きな問題となりそうだ。こうした問題は実際に試作品を作りながら最適化して いくことになる。

材料問題
 また一方で問題となりそうなのが材料の問題。眼球という体内に材料を入れて使う ため生物的、化学的、機械的、電気的という多方面の安全性が問われる。人工臓器と しては、同様に外部装置と体内装置を用いる人工内耳などがあり、こうしたものに利 用されている材料はあるが、材料メーカーがリスクを嫌い、入手が困難であるとい う。海外から購入するなど対応しているが、一方で国内メーカーにも協力を呼びかけ る。
 同様タイプの人工眼では海外勢が先行している状況。しかし、八木所長は「2〜3 年でキャッチアップする」と自信を見せる。
 もともとニデックでは小沢秀夫社長が「目にこだわって最終的には人工眼開発を目 指そう」と立ち上げた企業。途中、あまりにも人工眼が高度な技術のためあきらめか けた時期もあったという。しかし、創立30周年を迎え、本格開発に乗りだした。失 明患者の夢を実現することは企業創立時から見続けた同社の夢の実現にもなる。


■時事通信 3月18日
 DNA断片でY字や六角形構造=映像装置に応用可能−生体分子研と九大
 遺伝子を構成するDNAの断片を使い、I字型やY字型の微小な「部品」や、六角 形が連なったハチの巣構造を作ることに成功したと、バイオベンチャー企業の生体分 子計測研究所(本社茨城県つくば市)と九州大学生体防御研究所が18日、発表し た。生体分子研の岡田孝夫社長は「これらの部品を積み木のように組み合わせれば、 超微細な映像ディスプレーや人工網膜の部品として使える。大手電機メーカーと共同 開発し、4、5年後の実用化を目指したい」と話している。


■読売新聞夕刊 1月31日
網膜に直接映像を投影、低視力者の補助装置を開発

 三洋電機は31日、眼鏡をかけても両眼の視力が0・6未満といった視力が弱い人 でも、テレビやパソコンの画像をはっきり見ることができる視力補助装置を開発した ことを明らかにした。レンズの役割を果たす目の水晶体に損傷があっても、フィルム に当たる眼底の網膜に直接、ピントの合った画像を投影することで、鮮明な像を結ぶ 仕組みで、同社では、ゴーグル型などの商品を2004年を目標に発売する予定だ。
 新装置は縦9ミリ、横12ミリの液晶ディスプレーに特殊レンズを付けたもので、 大阪市立大工学部の志水英二教授(電子回路学)、医学部の白木邦彦助教授(眼科 学)らと共同開発した。この装置は、視力の弱い人や、視野が狭い人などに利用して もらう計画だが、網膜色素変性症などで網膜の一部が損傷している場合でも、液晶か らの光線の角度を調節し、損傷していない部分に投影することで、鮮明な画像が得ら れるという。三洋電機は今後、装置の小型化を進め、テレビやパソコン、ビデオカメ ラなどから取り込んだ画像を見ることができるゴーグル型の装置を、20万円以下で 商品化する計画だ。視力が弱い人向けの補助器具には、文字をテレビ画面に大きく表 示する拡大読書機があるが、文字を少しずつしか読めない欠点があった。


■東京読売新聞2月12日 朝刊

肝臓 再生できるかもね ◆ES細胞で 医療が飛躍

 建築家の叔父さんは本当は医者になりたかったそうだ。小学生のおまえはいいな、 何にでもなれて、可能性があってと言う。でも叔父さんも、じんせい、やりなおせる んじゃないかな。 この間、新聞で「心臓や神経などどんな臓器、組織にもなる可能 性を持つES細胞」の話を読んだ。年を取ったり病気のせいで悪くなった臓器をリフ レッシュさせ、寿命も伸ばしてしまう「再生医学」だ。 ぼくも叔父さんも最初は、 受精卵という1個の細胞だったそうだ。分かれていく途中で、肝臓になれと命令され た細胞は肝細胞になり、ほかにはなれない。お酒好きの叔父さんの肝細胞は少しかわ いそうだ。 ES細胞はずっと川の源流に近い細胞で「特別な培養液などを使って誘 導すると、多彩な細胞に変化」できる。米国が進んでるけれど、日本でも信州大や京 都大、東京大などが挑戦しようとしていて、国の審査が今月から始まった。  この 細胞に「増殖因子」を加えると、割と簡単にいろんな細胞に変わる。でも京都大再生 医科学研究所の笹井芳樹教授は「本当に難しいのは、作りたいと思った細胞だけ、混 ぜ物なしに作ることなんだ」と言う。
   神経や筋肉の細胞が、ごちゃ混ぜになったら大変。がん細胞(無謀な増殖を続ける 暴走族だ)になるものもある。肝臓の細胞ができた、と肝臓病の人に移植したら、か えって体を悪くしたというのでは困る。
 世界中の研究者ががんばって、マウスのES細胞から神経、心筋、血液などを作っ た。試験管の中でのことだ。笹井先生は先月、サルのES細胞から網膜や神経を作っ た。 この神経はドーパミンという物質を分泌するので、ドーパミンが不足して運動 神経に障害が出るパーキンソン病(ボクシング元王者のモハメド・アリも苦しんでる 病気だ)の治療に役立つはずだ。インスリンを出す細胞が作れれば糖尿病も治療でき る。でも他人のES細胞から作った細胞を使うと「拒絶反応」が起こる。ベストは 「クローン技術を使い、自分と同じ遺伝情報を持たせた初期の細胞(クローン胚)を 作り、これからES細胞を作る」ことだという。 人間のクローン胚からは金太郎ア メのようにクローン人間ができる恐れもあって、日本は今、ヒトクローン胚作りは禁 止だけど「究極の目的」はここにあるらしい。みんな自分にぴったりの“MY ES 細胞”を持ち、どんな病気も怖くないという時代がくるのだろうか。  
 再生医学ってホントにすごい。ボク、お医者さんになる。そして叔父さんの肝臓な おしてあげる。


■朝日新聞 2月3日

  パーキンソン病治療に役立つ神経細胞の作製に成功 京大
 京都大学のグループは、カニクイザルの胚(はい)性幹(ES)細胞から、パーキ ンソン病の治療に役立つ神経細胞や、失明治療に使えそうな目の細胞を作ることに成 功した。霊長類で、これらの細胞を狙って作り出すことに成功したのは世界で初め て。人への臨床応用に一歩近づいた。米科学アカデミー紀要オンライン版に発表され た
 実験したのは同大再生医科学研究所の笹井芳樹教授や探索医療センターの高橋政代
 助教授ら。
 ES細胞はあらゆる細胞になる可能性を持ち、万能細胞とも呼ばれる。笹井教授ら は2年前にマウスのES細胞を、頭部の骨髄から採った細胞などと培養して、9割以 上の効率で神経細胞を作る方法を確立した。できた神経細胞の約3割が、パーキンソ ン病では不足している神経伝達物質ドーパミンを作った。
 今回、この方法を少し改良してカニクイザルのES細胞を培養したところ、全体の 1割以上がドーパミンを作る神経細胞になった。
 さらに、ドーパミンを作る細胞以外の細胞を培養し続けると1割弱が目にある「網 膜色素上皮細胞」になった。この細胞に異常があると、網膜色素変性症という失明の 恐れがある難病になるが、この成功で治療の可能性も出てくる。
 目の細胞がES細胞から作られたのはマウスも含めて初めて。高橋助教授は「今回 の研究で、ES細胞から視神経を作れる可能性も高まった」と話す。
 ヒトES細胞から、神経細胞など必要な細胞だけを効率よく作る方法は確立してい なかった。


■毎日新聞 2月1日

  <ES細胞>サルの卵子使用し未受精卵から発生に成功 米社
 【ワシントン】米バイオ企業「アドバンスド・セル・テクノロジー」などの研究グ ループが、サルの卵子(未受精卵)から万能細胞と呼ばれる胚(はい)性幹細胞(E S細胞)を作ることに世界で初めて成功し、1日発行の米科学誌「サイエンス」に発 表した。ヒトに応用できれば、受精卵を壊してES細胞を作る必要がなくなる。倫理 的な問題が避けられ、ヒトES細胞の研究や、これを利用した再生医療が急速に進む 可能性があるという。
 発表したのは同社と米ウェイクフォレスト大のグループ。カニクイザルの卵子を特 殊な条件で培養し、受精を伴わずに細胞分裂させる単為発生を試みた。77個の卵子 のうち28個は細胞分裂が始まり、うち4個は胚盤胞(はいばんほう)と呼ばれる初 期の胚になった。
 さらに、この胚から取り出した細胞を培養して、自発的に鼓動する心臓の細胞や神 経細胞、筋肉細胞、脂肪細胞などに分化させることに成功した。身体を構成するあら ゆる細胞に分化する全能性を持っていたことから、ES細胞であることが確かめられ た。
 同社は昨年12月、ヒトの卵子22個を培養して、うち6個を胚盤胞の段階まで成 長させる単為発生の実験に成功したと発表している。今後、ヒトの胚盤胞からのES 細胞作成を目指す。
 ヒトES細胞は、アルツハイマー病などの治療に用いる神経細胞や、移植用の組織 や臓器の細胞を作る目的で、研究が活発化している。しかし、ヒトES細胞は受精卵 を壊し取り出されているため、宗教界などから倫理的な批判が出ている。
 同社のシベリ博士らは「単為発生でできた細胞なら、受精卵を使わないから倫理的 論議を回避できる」と指摘している。


▽単為発生

 卵子が受精することなしに細胞分裂(卵割)し、成長すること。自然界では、は虫 類や鳥類、昆虫、植物などで単為発生による単為生殖がみられる。ほ乳類では、単為 生殖する種はない。ほ乳類の卵子に化学物質などによる刺激を与えて単為発生を開始 させることはできるが、妊娠中期までに死んでしまい出産例はない。


■東京読売新聞 2月28日

  ヒトクローン胚づくり 英上院、研究を認可
 【ロンドン27日=ロイター】英国議会上院の委員会は27日、治療を目的とする 場合に限り、人間のクローン胚(はい)をつくる研究を認めることを決めた。クロー ン胚からつくったあらゆる細胞は、「幹細胞バンク」に保存して活用するという。こ うしたバンクの設立は世界初。
 英国政府が昨年、クローン研究を認める法案を提出した際、中絶に反対する団体が 差し止めを求めて提訴するなどしていたが、同委員会のリチャード・ハリーズ委員長 は「パーキンソン病やアルツハイマー病の治療に役立つ研究を、禁じるべきではない との結論に至った」とした。
 これに対し、「クローン人間づくりにつながる恐れがある」などの批判の声も上 がっている。


■毎日新聞 3月5日

 <ES細胞>発光遺伝子の組み込みに成功 滋賀医科大など
 滋賀医科大の鳥居隆三助教授らと田辺製薬の共同研究チームは5日、サルの胚性幹 細胞に、クラゲの発光遺伝子を組み込むことに初めて成功したと発表した。光を当て ると緑色に光るため、生体のあらゆる組織に変わる能力を持つES細胞の分化が簡単 に目で確認できる。研究のスピードや精度のアップにつながりそうだ。


■日本経済新聞 3月8日 朝刊

骨髄細胞使い視細胞を再生
 関西医大が動物実験
 関西医科大学の研究チームは病気などで傷つくと失明の恐れがある視細胞(網膜神 経細胞)の再生に、ネズミを使った実験で成功した。骨髄から取り出した細胞を目に 移植すると、二週間以内に視細胞に変わるという。網膜色素変性症など難病治療に応 用できる可能性がある。
 同大の池原進教授らが、網膜を破壊したネズミに別のネズミの骨髄から取り出した 骨髄幹細胞を移植、自然に視細胞に変わったことを確認した。視細胞の機能は未確認 だが、光の検出に必要なたんぱく質が含まれており、機能している可能性が高いとい う。

 上記の研究グループの一員で、岡山で医療講演をしてくださった山田先生より次の ようなメールをいただきました。
 「ただ、この技術はまだ極めて萌芽的で、人体に応用されるまでにはかなり時間が かかるものと予想されます。ただ、網膜色素変性の人たちのように視細胞がなくなっ た後、視細胞が再生するというのは夢のようなすばらしい治療法になり得ると思いま す。今後、新しくできた視細胞が本当に機能するものかどうかなど、調べていかなけ ればならないことは山積みです。日本中の方がこのニュースを見られて私達の方にも 問い合わせが引きも切らないのですが、くれぐれも早合点していますぐ治療を受けた いということのないように周りの人たちにも教えてあげて下さい。地道な基礎実験の 集大成によっていつかは安全に応用できる日がくるでしょうから。」
 関西医大眼科
  山田晴彦


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