あぁるぴぃ広島 40号


■巻頭言

M小学校で3年生のゲスト ティーチャー
 支部長 佐藤 行伸(福山市)

1 はじめに
 6月28日にM小学校の3年生に話をしました。道徳の時間です。教科書に「目の不自由な人をどうやって誘導するか」の記述があるようです。45分授業を3本こなしました。
ところが、中身が全く同じというわけにはいきません。相手も違うし、反応もさまざまです。クラスによっては私の親父(おやじ)ギャグも通じません。
2 目が不自由でも見え方は異なる。
 私の自己紹介をはじめに行い、次に子ども達に両眼をつぶってもらいました。「目が不自由」といっても、いろんな人がいるということを知ってもらうためです。
全く見えない人と光覚(こうかく)・手動弁・指数弁。視野狭窄・ドーナツ型等、見え方の違いの説明をしました。
 私の場合、手動弁。視野はトイレット ペーパーの芯(しん)を目に当てて物を見る状態と話しました。
3 「白黒反転は見えやすい。」
 白黒の紙と白黒の棒を使用して、見え方比べを体験してもらいました。
4 目が不自由ということで思いつくものは
 続いて「目が不自由ということで思いつくものは何ですか。」と子ども達にたずねました。「白杖・点字・盲導犬・誘導ブロック・音響信号」と活発な答えです。
それぞれについて盲導犬の頭数を含め、白杖の役目など、説明しました。「盲導犬には信号の色が見えない。」と話すとびっくりしていました。
誘導ブロックの点と線の違い、音響信号の南北・東西の音のことも話しました。電車での転落事故が多いこと。
駅ホームの内方(うちかた)線の点字ブロックのことも話しました。
5 どうやって仕事をしているか。日常生活は?
 次に私が「どうやって仕事をしているか。日常生活は・・・。」について話しました。
 学校へ拡大読書器とノートパソコンを持ち込みましたので、拡大読書器を操作し、音声パソコンの紹介も出来ました。ただし、インターネットは接続不可能で、出来ませんでした。
 日常生活では「テープ図書(広島県視覚障害者情報センター)と「サピエ図書館」で本を聴いている。」「新聞記事はインターネットで聴いている。」と話しました。
6 アイマスク体験。お互いに体験してみる。
 困った誘導。「連行される。」「後ろから押される。」というような誘導は嫌ですと話しました。
 子ども達にアイマスクをした人と誘導する人のペアになってもらい、教室内を移動し、体験をしてもらいました。
 「アイマスクをつけた人は左手で誘導する人の右肘(ひじ)を握ってください。」
「アイマスクをつけた人に椅子の背もたれとお尻を乗せる所に触らせてあげてください。」と説明し、アイマスクをかけた子に椅子に座ってもらうところまで、やりました。子ども達は「キャー、怖い。」とにぎやかです。
 私の説明不足のため、アイマスクをつけた子が前を歩き、誘導をする子が後ろに付くという場面もありました。男女のペアでは恥ずかしいのか、右肘(ひじ)ではなくて、半そでの先をつまんで歩く子もいました。
7 質疑応答では
 「どうやって、ご飯を食べるんですか。」「寝る時はどうするんですか。」「お茶をどうやって飲むんですか。」「目が不自由で耳も聞こえない人はどうするんですか。」「車の運転はどうするんですか。」と活発な質問がありました。
 ご飯の質問には料理の場所を時計の短針の時刻で知らせること。寝るときの質問には初めて泊まるホテルなどでは案内が必要なこと。お茶の質問には腕を曲げて、手の甲(こう)をテーブル上を移動して見つけること。直接触らせるという方法もあること。
盲聾者(もうろうしゃ)については東京大学の先端技術研究所の福島教授の話をしましたが、知っている子が数人いました。指点字と点字ディスプレイのことを伝えました。車の運転は出来ないことを説明し、将来は自動運転の車が出来るかもしれないと話しました。
8 おわりに
 良いチャンスを与えていただき、元気で純朴な子ども達に会えたのはとてもうれしく、刺激的でした。制限時間があり、思いを十分伝えることが出来なかったことと、話すことの難しさ、教師という仕事の大変さを痛感しました。
 少しは視覚障害者に対する理解をいただけたかな?機会があれば、また、どこかで、元気な子ども達に話をしたいものです。

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