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視覚障害者のスポーツ その2−他にもいろいろあります−

国立神戸視力障害センター
厚生労働教官 細川 健一郎 先生

 パラリンピックで行われているものだけが視覚障害者スポーツではありません。他にも多くのスポーツが楽しまれています。その中でも、グランドソフトボール(視覚障害者の野球型ゲーム、以前の盲人野球)、フロアバレーボール(視覚障害者のバレーボール)、サウンドテーブルテニス(視覚障害者の卓球、以前の盲人卓球)は有名ですね。今回は、これら以外であまり知られていないいくつかの種目を紹介したいと思います。

視覚ハンディキャップテニス
コートはバトミントンのものを、ボールは音源入りのスポンジボール、ラケットは一般のテニスラケットより短いものを使い、高さ約80cmのネット上をラリーします。日本で考案された競技です。1989年弱視者を対象としたショートテニスの大会が行われたのが、競技としてのはじまり。全盲者を対象とした大会は1990年より実施されており、現在は西日本、東日本の大会に加え、地域独自の大会も行われ始めています。
フライングディスク
アキュラシー(正確に投げることを競う)とディスタンス(距離を競う)があり、陸上や水泳のような障害区分別で競技されないのが特徴です。アメリカでは古くから障害者に親しまれている競技ですが、国内では1997年に第1回の全国大会が実施されました。全国障害者スポーツ大会の種目にもなっています。
ビームライフル
国際的にはエアライフル(実際に弾が発射される)で実施されていますが、国内では銃刀法が厳しいため、弾の代わりにビームを飛ばして競技されます。銃口の向いている方向を音でフィードバックすることによって照準を合わします。1996年、西日本障害者ビームライフル選手権に視覚障害者の部がはじめて設けら、その後、全日本大会などでは視覚障害者の部が設けられていますが、視覚障害者用の音源装置が特殊であるため、普及の面ではあまりすすんでいません。
視覚障害者ゴルフ
キャディーがボールの位置やホールまでの距離を指示、2人1組となって行う競技です。バンカーに入ったボールを打つ際に、クラブが地面に接触してもよいことを除けば、一般のルールとほとんど同じです。アメリカでは1930年代より組織的な活動が行われていますが、日本では比較的新しいスポーツです。世界のトップゴルファーは70台、80台でコースを回ります。
ウインタースポーツ
長野のパラリンピック以降、盛んになりつつある。大回転、バイアスロン、(クロスカントリースキーと射撃(エアライフル)を同時に行う競技)クロスカントリー(歩くスキー)などが行われています。

これらの他にもスキューバダイビングやバスケットボール、乗馬など、多くのスポーツが楽しまれています。みなさんも、スポーツの秋に新しいスポーツにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

今回で私が連載させていただいた「健康と運動」「視覚障害者のスポーツ」は終了となります。連載を通して一人でも多くの皆さんに、日常の運動の必要性を感じていただけたら、また、視覚障害者スポーツに興味をもっていただけたら、これに優る幸いはありません。

☆兵庫県網膜色素変性症協会よりお知らせ
細川先生は、この文の内容、及び、視覚障害者の健康・スポーツなどについてご質問にお答えいただけるとの事です。
細川先生への質問メールは兵庫県網膜色素変性症協会までお願いします。

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