山陰支部設立20周年にあたって

島根県眼科医会会長 清水正紀(しみず まさのり)

ただ今、ご紹介いただきました清水正紀(しみず まさのり)と申します。
島根県眼科医会を代表して、ご挨拶を述べさせていただきます。この度は、創立20周年を迎えられましたとのこと、誠におめでとうございます。心からお喜び申し上げます。
網膜色素変性症の皆様が集まられ、情報を共有し、お互いを理解し、支え合われ、今日をお迎えになられたことに衷心より敬意を表したいと思います。

数年前に網膜色素変性症協会、ライトハウスの方から、研修会にお声掛けを頂き、眼科医も数名参加させていただきました。初めての参加で最初は緊張していました。日頃は診療を通じての間柄ですが、とても親しみやすい雰囲気の中での貴重なご講演や意見交換が行われ大変有意義でした。

懇親会にも呼ばれ親睦を深めさせていただきました。私たちが会話を弾ませ、おいしい料理をいただいている間、盲導犬がおとなしくしている姿、程度の軽い人が不自由さの強い人をリードされている姿、様々な工夫をしておられること、何より明るく振舞っておられる姿に感銘しました。

眼科診療には目覚ましい進歩がみられて、眼底疾患については、三次元画像解析など最新の機器が導入され、網膜色素変性症についても、より詳しい所見がわかるようになってきました。また、iPS細胞を用いた世界初の再生医療が眼底疾患の治療に取り入れられました。

病気は、程度や状況は個人よって様々です。日進月歩の医療水準に合わせ正確な診断に基づいた治療やリハビリテーションが行われています。より良い支援を行うためには、眼科医、看護師、視能訓練士、行政の方々の連携が欠かせません。中でも、眼科医の果たす役割は大きいと思っております。この分野の専門家、高橋 広先生によると、「ロービジョンケア」とは、「保有視覚を最大限に活用してQOL(Quality of Life)の向上を目指すケア」と定義されています。
Lifeには、「生命」、「生活」、「人生」といった意味があり、これらのQuality(質)の向上、中でも「生活の質の向上」について、「ロービジョンケア」が注目されています。WHOは国際生活機能分類で、「できる活動」と「している活動」に分け、周りの人の支援で「できる活動」を増やし、「している活動」につなぎ、さらに「する活動」の実現を目指そうとしています。社会の高齢化に伴い、「ロービジョンケア」も、これまでの「就労支援」に加え、「生活支援」の重要性が増してきました。
これまでにも増して、眼科医、コメディカル、行政との連携が望まれるようになりました。20数年前、眼科の学会で上智大学のアルフォンス デーケン教授の講演を聞いたことがあります。デーケン教授は、「老いること」についての講演の中で、「健康を保ち、若くあり続けるための秘訣は、ユーモアと笑いである」、「心と体の健康を守り、コミュニケーションを円滑にし、日々の生活を豊かにする大切な役目がある」、「ユーモアとは、にもかかわらず笑うことである」、悩みや苦しみのさなかに発揮されるもので、「にもかかわらず」笑いを忘れぬことこそ「成熟した深いユーモア」であると、ドイツではよく知られているユーモアの定義を話されました。デーケン先生は、ユーモアを交え、流ちょうな日本語で、「ともに喜ぶことは2倍の喜び、ともに悲しむことは半分の悲しみ」というドイツのことわざを引用し、人は一人で生きるのでなく、みんなで話し合うこと、協調すること、連携の大切さを諭されました。

皆様方は、この会を通じて協力し親睦を図り情報交換などを行って20周年を迎えられこととご推察いたします。
日本網膜色素変性症協会山陰支部の益々のご発展を祈念し、ご挨拶とさせていただきます。

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