知事感謝状への謝辞及び山陰網膜色素変性症協会の活動概況
この度、私たちの団体の活動に対して島根県の高い評価を受け、知事から感謝状を授与されるという大変名誉ある賞を賜り、ただただ感激し喜びに堪えません。本当にありがとうございます。
ここで、ちょっとお時間をお借りして網膜色素変性症というものや協会の活動について概要をお話しさせていただきます。
1.網膜色素変性症(RP)とは?
一般に網膜の視細胞が周辺から少しずつ死んでいき、その結果、夜盲症、視野狭窄、視力低下がもたらされる病気です。現在治療法はなく、国の難病指定となっています。
失明の原因として、緑内障、糖尿病性網膜症に次いで多い疾患とされています。
2.網膜色素変性症協会(JRPS)
会員である患者、眼科医をはじめとする医療従事者、支援者が一体となって、網膜色素変性症の治療法の確立と生活の質(QOL)の向上ための活動を行う全国組織として、平成6年(1994)に設立しました。そして国際網膜協会に加盟しました。
主な活動としては、国内の研究者を対象に、毎年2名に助成金を授与するとか、医療講演会や会報などの広報活動をしています。
3.JRPS山陰の主な活動
全国組織設立の翌年、山陰は全国に先駆けて支部を設立しました。その後、各都道府県に支部が設立しましたが、本年4月からはJRPS本部が公益社団法人になったため本部支部の関係はなくなり、連携はあるもののそれぞれ独立となりました。
最近の主な活動についてご紹介します。
医療及びロービジョンケア研修について
最近眼科診療にやっとロービジョンケアが保険点数にあげられるようになったことを踏まえ、眼科医会のご協力を得て、最新の治療研究状況のみならずロービジョンケアを中心に据えた研修内容を多くしています。対象も広げ、網膜色素変性症患者に限定せず、医師他医療従事者、保健師、福祉関係者、見えが心配な人一般にしています。
- 平成25年(2013)12月 県民会館
- ライトハウスライブラリー共催
- 講師:久保明夫氏:元国立身障者リハセンター所沢病院・医療福祉相談専門員
- 平成26年(2014)7月 米子コンベンションセンター
- 講師:神鳥高世氏:鳥取県眼科医会会長、神鳥眼科医院
- 平成27年(2015)1月 松江市総合福祉センター
- ライトハウスライブラリー共催
- 講師:吉原浩二氏: 松江総合医療専門学校・視能訓練士
- 講師:鎌田一雄氏: 宇都宮大学名誉教授
- 講師:庄司 健氏: ライトハウスライブラリー歩行訓練士
- 平成27年(2015)4月 西部視聴覚障害者情報センター(いわみ~る)
- 講師:守本典子氏: 岡山大学病院眼科ロービジョン外来担当医
- 平成28年(2016)7月 鳥取市さわやか会館にて
- 講師:玉井嗣彦氏:元鳥取大学病院長、鳥大名誉教授、眼科医
その他の研修として
*先ほどの研修会や定期総会に併せ、保健福祉の制度等についての研修もしています。
*また、10月16日の本日、松江市ホテル宍道湖において、中四国地区リーダー研修会を開催していますが、テーマは、本年4月に施行された障害者差別解消法について具体的実際的に理解していくためのシンポジウムを企画しました。
研修以外の活動としては
*ボランティア養成:中四国地区リーダー研修会開催を機に移動介助等のボランティアを中心に「あいサポート運動」のサポーター講習を、松江市社会福祉協議会と共催で行いました。
*その他、機関誌の発行や会員個々には、難病相談支援センターの相談員とか盲導犬貸与のユーザーが要請によって学校訪問などをしています。
こうした活動は、保健所や難病相談支援センター、あるいは眼科医会など多くの関係機関の支援があっての活動であり、まさに私たち自身のQOL向上そのものにつながっています。
私たちの疾患は、個人差が大きいですが、人生半ばにして中途失明で職を失い、これからをどう生きるか再就労に大きな課題を抱えており、待ち望む治療法の確立と共に私たちの今後取り組む課題だと思っています。
本日、名誉ある感謝状を賜り、これからもこの賞に恥じないよう一層精進していく所存ですので、どうか温く見守っていただきながらご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
平成28年10月16日
会長 安部利一
代読 同幹事 石田聡