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●ご存知ですか?「自由利用マーク」の配布開始!

兵庫県 野村明紀


 文化庁は、1月24日に「自由利用マーク」を制定し、同庁のホームページからダウンロードできるようにしています。

 近年、インターネットが普及するにつれて、多くの人々が、自ら著作物(写真やイラストなどの画像、文章など)を手軽に公開できるようになり、その数は飛躍的に増えています。それにつれて、著作権にまつわるトラブルも増えています。そのため、トラブルを恐れたり、手続きがわずらわしく感じられたりして、その著作物を積極的に利用できない場面があります。

 残念ながら、自らの著作物を広く利用してもらいたい著作者が存在するのにもかかわらず、その著作者の意思が利用者に伝わりにくい状況があります。

 以前より書籍の世界では、視覚障害者等が利用しやすくするために「EYEマーク」があり、著作者の意思を簡単に利用者に伝える仕組みがあります。

 しかし、インターネットの世界ではこれまでこのような仕組みがありませんでした。著作権法を管轄している文化庁は、この状況を改善し、書籍だけではなくもっと広範に利用できる「自由利用マーク」を制定し、自分の著作物を広く利用してもらいたい著作者の意思が確実に利用者に届くことを期待しています。

 現在、「自由利用マーク」は利用範囲や目的によって3種類に分かれています。

 以下に簡単にそれぞれの「自由利用マーク」と「EYEマーク」の説明をします。

プリントアウト・コピー・無料配布OKマーク ■「プリントアウト・コピー・無料配布」OKマーク

 無料配布であれば、あらゆる目的での「プリントアウト」「コピー」を許可します。ただし、変更、改変、加工、切除、部分利用、要約、翻訳、変形、脚色、翻案、インターネットでの送信、配信は許可されていません。

 例えば、会社のパンフレットにコピーして配布することなどは、営利目的の利用ですが、無料配布である限り可能です。

障害者のための非営利目的利用OKマーク ■「障害者のための非営利目的利用」OKマーク

 障害者が使うことを目的とする場合に限り、コピー、送信、配布など、あらゆる非営利目的利用を認めるマークです。

 変更、改変、加工、切除、部分利用、要約、翻訳、変形、脚色、翻案なども許可されます。つまり、録音図書、拡大写本などの作成が自由にできるようになります。

 障害者が使う目的であれば、障害者でない者でもコピーや配布を行なうことができますし、実費程度の費用を徴収することも可能です。(このマークをインターネット上の著作物に付けたとしても、マーク自体画像なので視覚障害者はどうやって付いていることを認識できるかという問題が指摘されています。)

学校教育のための非営利目的利用OKマーク ■「学校教育のための非営利目的利用」OKマーク

 学校での様々な活動で使うことを目的とする場合に限り、コピー、送信、配布など、あらゆる非営利目的利用を認めるマークです。

 変更、改変、加工、切除、部分利用、要約、翻訳、変形、脚色、翻案なども許可されます。

※「自由利用マーク」によって著作権法における著作権の制限を除外するものではありません。例えば、「障害者OKマーク」を付けていても、著作権法の定めるところにより営利目的での点訳等は許可されます。

※誤用される危険性が高いため、音楽、ビデオ等には「自由利用マーク」を付けられないことになっています。

□「EYEマーク」について

 「自由利用マーク」と同様なものとして、10年にわたって読書障害者支援を行ってきた「EYEマーク」があります。「EYEマーク」は、目の不自由な人やその他の理由で活字のままでは本をはじめとする印刷媒体を読めない障害者のために、本等が出版された段階で録音図書や拡大写本を作成してもよいことを著作者が予め宣言するものです。

 「EYEマーク」は利用できる範囲や条件を記述できるようになっています。そのため、より細かく利用条件を設定したい場合、例えば、「録音図書」「拡大写本」のみを認める場合や、利用した際には報告して欲しい場合などに有効です。

○お問合せ先
文化庁著作権課
TEL 03-3595-1336
E-mail chosaku@bunka.go.jp
URL http://www.bunka.go.jp/jiyuriyo/
EYEマーク・音声訳推進協議会
TEL 03-3929-7809
E-mail eyemark@anet.ne.jp
URL http://www2s.biglobe.ne.jp/~dokusyo/eyemark/

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