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提 案

匿名希望


 ニュースレターが発行されてから久しい。発行されたのが1994年ですから十年の春秋を重ねたことになります。

 主旨は国際的な立場におけるJRPSの情報と学術的な資料の提供を患者、支援、学術に共通のものとなるよう心掛けて発行されたと伺っております。

 皆さんもご存知だと思いますが、国内外医学情報も含め、いろいろな情報をわれわれに与えてくれています。そして、毎年実施されている研究助成受賞者の研究報告が紹介されています。

 学術的なまたは専門的な知識に疎いわたくしにも格段、研究の内容が進歩していることを実感することができます。きっと、眼科学会ではもっとハイレベルな研究が発表されているのかも知れませんが・・・

 その研究助成において、1997年の第1回目の研究助成授賞式が思い出されます。世界網膜の日に記念行事が催され、授賞式を拝見し、一日も早い治療法の確立を願ったものでした。

 話はそれますが、その時初めて、情報保障を受けました。いまのようなPC要約筆記による先進的な情報保障ではなく、文字通り手書きによる要約筆記でした。それはよいのですが、閉会間際、お手伝い頂いたボランティアへの謝礼が思いのほか、高額だったので大変恐縮した記憶があります。

 最近、アッシャー症候群の情報を海外に求めるようになりました。海外のUS(Usher syndromeの略)サイトを拝見すると、いかに日本がアッシャー症候群への研究・取り組みが立ち遅れているか、薄いかよくわかります。というよりまったく皆無といってもよいくらい存在しません。

 海外においては非常に多くの研究・調査と報告があります。例えば、Usher syndromeは先天性の感音性難聴と網膜色素変性症が結合する疾患であります。(多少、定義付けには足らない部分もありますがご容赦ください)

 この疾患は1858年にVon Graefeによって、初めて記載されました。これがもっとも古い記録とされています。それから1861年のR.Liebreich、1907年のV.Hammerschlagの報告もありますが、1914年に英国の眼科医、Charles Usherが遺伝的な性質を強調し、報告したことから、彼の名前にちなんで、Usher syndromeと呼ばれるようになりました。

 たったこれだけの情報でも日本語のWebサイトにおいては紹介されていないのが現状です。まったくお寒い限りです。

 とまれ、日本においては、アッシャー症候群の研究・報告は皆無であります。不毛の地帯と言っても過言ではありません。知らないところで学会において、発表されているのかも知れませんが、分子遺伝学・視覚病態学・神経科学の分野において、発表されているとは考えにくいのです。

アッシャー症候群の研究が置き去りにされているのはこのニュースレターや海外のUSサイトを拝見すると痛感します。

日本ではなぜ研究が試みられないのでしょうか?いろいろな理由があると思いますが、実は苗を植えなければあるいは種をまかなければ実りません。道のりは遠くてもまずは研究に携わる関係者の皆さまに少しでも関心を持っていただくことからスターとしなくはなりません。

 わたしはここに提案したいと思います。すなわち、治療研究助成事業の対象疾患において、網膜色素変性症とUsher syndromeにすることを。(形式にはこだわりませんが・・・)

 これについて、学術サイドはおろか、一般の患者自身からも戸惑いと反発・物議を醸すと思うが、戯言と馬鹿にしてはいけない。たしかに分子遺伝学的なことはわたくしにはわかりません。しかし、急がば回れということわざもあります。

一見、網膜色素変性症の治療法とは結びつかないアッシャー症候群の研究にも着目することにより、RPの治療法がより近づくような気がしてならないのです。

 このままだとわが国においては永久にアッシャー症候群の研究は試みられない可能性があります。唯一、可能性があるとすれば、治療研究助成事業です。

なによりもUsher syndromeを研究・調査・報告しているのが欧米の眼科医達であることを知るべきであります。なにとぞ、ご高配いただけますようお願い申し上げます。


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