あぁるぴぃ広島 30号


■あとがき■

 「どうなのかな?」
 朝夕と白杖をついて通勤していると、いろんな場面に遭遇します。駅では誘導ブロック上に団体客がいたり、歩道上に車が止まって誘導ブロックを遮断していたり、駐輪した自転車が誘導ブロックにはみだしていたり。
 車が止まっていたときには後ろから歩いてきた人が「車がありますよ。」と手引きをしてくれました。自転車を倒したときには通りすがりの人が起こしてくれました。
 誘導ブロック上で話し込んでいる人も素直に「すみません。」といわれるので、私も素直に「ごめんなさい。」と申し上げるのです。
 ところが、先日、素直になれない場面がありました。通勤途上のホテルの前に迎えを待つ集団が折り、その内一人が持つ傘がわたしに当たりました。なお数歩歩くと、ブロック上に立っている人がいる。私は「ああ。」といいました。
 その人は考え事をしていたのか、耳が不自由であったのか、杖の音に気づかず、白杖が当たってしまいました。その人は「すみません。」といわれたのですが、私は黙って通り過ぎました。その集団の中の若い女性が「どうなのかな?」と言ったのが聞こえました。
 私の詫びが無いことからの発言です。その女性は私のことを自己中でえらそうな奴と思ったことでしょうね。(苦笑)
 「30cmの安全地帯」と言われるように点字誘導ブロックは白杖を利用する私たち視覚障害者が信頼して歩く大切な存在。明日も白杖をついて、街中を啓発して歩きます。
 さて、吉永小百合さん、竹中直人さんが主演の「まぼろしの邪馬台国」。全盲の郷土史研究家が、妻と共に邪馬台国を探し出す姿を描いているとか。機会があれば鑑賞したいものです。(S)


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