あぁるぴぃ広島 Vol.5


■会員の声■

1 ある日の出来事    Kさん

 昨日(6月9日)、倉敷市でおこなわれた講演会の行きかえりの時に入った店での 出来事です。
 私は、ウエンズデー(盲導犬)をつれていました。
 福山駅までバスで出て、駅の構内にある喫茶店に入って快くコーヒーをご馳走にな りました。この、喫茶店は4月15日には盲導犬の入店を断られた所です。  講演が済んで大学から新倉敷駅まで歩いて、JRで東に二つ目の倉敷駅まで移動し て、そこから10人で店に入って、皆椅子に座ってウエンズデーもテーブルの下にダ ウンしていました。店には私達よりほかに二人か三人いたようです。  その店に入る前に岡山の人が盲導犬を連れて、はいることを交渉して許可を貰って くれました。
 やーれ、ビールを注文しようかと言った時に店員さんが「お客さん盲導犬を預から せてもらいます。」と言いました。私は、突然のことでなにがなんだかよく判りませ んでしたが、何も考えずに、私も「外に出ます。」と言って、その場に立ち上がり、 ウエンズデーも立ち上がらせました。
 みんなも立ち上がったので私は「皆さんはここで飲んでください。外で待っている から・・・。」と言いましたが、それで飲めるわけがないですよね。 皆も一緒に なって、その店を出て次の店を探してくれました。
 朝、家を出る前に、いつもよりは丁寧にブラッシングをして、ママレモンでぬらし たタオルで体の隅々まで拭いて出ました。
 その店に入る前に駅から歩いて暑くてハーハーと荒い呼吸をしていましたので服は 着せていませんでした。
 結局、そこの店では何も飲まずに、おしぼりも、まだでてなかったと想います。  次の店は、近くにあった倉敷国際ホテルのレストランでした。  ここでも、盲導犬がいることを言ってすんなり了解をいただきました。ホテルの ジュウタンの上で服を着せて足元にダウンさせました。
 そして、くつろいで皆で乾杯しておいしいビールをいただきました。
 しばらくしていると、ウエンズデーが立ち上がって、胃から物を吐き出しました。
 みんなにこの上迷惑をかけてはいけないと思って、かばんに入れていたビニールの 袋に吐いたものを入れて、タオルで濡れているのが判らなくなるまで何回も拭いて、 トイレに行くふりをして席を立ったのですが「Kさんどこに行くの。」と言って連 れて行ってくれました。トイレの帰りに「犬が、吐いたので謝りに行く。」と言っ て、Oさんだったかな、一緒に行ってくれました。レストランの人に「盲導犬が吐い たので。」とお断りを言って、いくら請求されるか判らなくて不安だったのですが、 「クリーニング代を支払うので。」と言ったら、あっさり「アッ、それはいいです よ。」といってくれました
 その分、皆さんのワリカンが高くなっていたらごめんなさい。  あまりお腹がすくと盲導犬には、戻すのがいます。
 朝から気を使いすぎておなかがすいていたのかな。それとも、冷房のよくきいた大 学から出て舗装の上を歩いて腹が熱かったのかな。
 かばんに入れていたドッグフードをやると元気よく食べたので、やはり、お腹がす いていたのかな。
 家に帰って、すぐにホテルにお礼の電話をしました。「皆さん又おいでくださ い。」とのことでした。
 とにかく、皆さんに迷惑をかけながらの一日でした。


(参考)■朝日新聞(2002年5月22日)

  補助犬とホテルへ、レストランへ 補助犬法が成立
[障害者補助犬法が成立]
 盲導犬や介助犬、聴導犬の同伴をホテルやレストラン、デパート、交通機関が拒む ことを禁じる身体障害者補助犬法が22日午後の参院本会議で全会一致で可決、成立 した。公共施設や公共交通機関は今年10月から、宿泊施設や飲食店は来年10月か ら、やむを得ない理由がない限り、補助犬の同伴を断ることができなくなる。ただ し、罰則規定はない。
 45年の歴史のある盲導犬ですら拒否されることが少なくなかった施設の「壁」 が、法整備で大きく取り除かれることを障害者らは期待している。
 物を拾うなど身体障害者の動作を助ける介助犬、聴覚障害者の耳がわりをする聴導 犬は、これまで「ペット」として扱われてきたが、すでに道路交通法で規定されてい る盲導犬とともに「補助犬」として法的に認定する。使用者には、同伴する補助犬 に、訓練された犬であることを表示し、他人に迷惑をかけることがないよう行動を十 分管理しなければならない、と定めている。
 補助犬の認定に必要な能力について、多人数が利用する施設で、ほえない、かみつ かない、排泄(はいせつ)しないなど、適切な行動がとれることを最低限の条件とし て規定している。また介助犬や聴導犬の訓練を社会福祉事業とし、国が03年度か ら、盲導犬と同じように介助犬、聴導犬の訓練にも1匹につき約150万円を助成す る。
 厚労省によると、盲導犬は全国で約900匹、訓練施設などが認定した介助犬は2 6匹、聴導犬は19匹。法整備によって、これらの犬の使用を希望する人が増えるこ とを見込んでいる。
 99年7月、超党派の国会議員による「議員の会」が設立。盲導犬や介助犬、聴導 犬の使用者や訓練施設から意見の聞き取りなどをして法案をまとめ、昨年12月に議 員立法として衆院に提出した。


2 白内障の手術をしました
             尾道市 Oさん

 4月8日から4月18日まで、白内障の手術のため京都大学眼科に入院しました。  左右とも視力0,3であったものが、右0、6に、左0,4に回復しました。それ と眩しさが、だいぶ和らぎました。一番の成果は、字を読むのが楽になったことで す。今まで見ていた黒色と手術後に見る黒色がこんなに違うのかと驚いています。
 私と同じ網膜色素変性症の合併症と言われる白内障で悩んでいる方の参考になれば と思います。
 以下は主治医との会話です。

主治医 「Oさん、瞳孔を広げた時の眼の状態は、どうですか?」
Oさん 「裸眼では、多少ぼけて見えますが、メガネを掛けて見ると鮮明に良く見 えます。」
主治医 「それを擬似体験と思ってください。手術をしてみないと判りませんが、 Oさんの場合、今よりは、良くなると思います。」

 これは手術の前日の主治医とのやりとりです。
 手術後の状態は、上記に記したとおり、眩しさがかなり和らいだ状態です。 


3 西国観音霊場めぐり   Sさん

 盲導妻につかまって行く西国巡拝旅日記。春のお四国に引き続き、今回も住職ご夫 妻その他の方々の特別の配慮と援助を得ての三泊四日の旅である。第一番から第九番 までの九ヶ寺の巡拝だが、各お寺の紹介などは多数出版されているガイドブックに譲 ることにし、視力のない私が視覚以外の感覚で味わった旅の印象記である。
 十月二十二日、天気予報は雨、曇天ながら雨は落ちていない。だが、東へ進むにつ れて雨が降り出した。今日は西国最大の難所と言われる施福寺参りがあって、ここで 雨に降られると道中が大変だが、空模様からして雨は避けがたいと観念する。山陽道 から大阪市の外側をぐるっと回り、途中学生時代を過した寝屋川辺りを通ったよう で、やがて藤井寺市内にある葛井寺では雨は上がっていた。
 次いで、雨が降らないことを祈りつつ施福寺へ向ったが、幸いにも何とか持ち堪え ており感謝しながら参道へ。案の定、自然石の不規則な石段が延々と続き、なるほど 難所と言われる所以かと思いつつ、早くも下りの難しさを気にしながら必死に登っ た。着くと、休む暇もなく読経が始まる。帰り道、妻につかまって石段を下り始める と、間もなく膝が痛み出した。春のお四国の際も膝が痛んだので、その個所に円皮針 という痛み止めの鍼を貼付していたので、その部分は痛まなかったが、反対側の膝に 痛みがきて閉口した。最近、膝の悪い人が多く、特に女性に多い。これは女性は骨格 ・筋肉系が男性に比べて弱く、それによくお食べになって、よくお太りで、そこへ加 齢と共に膝関節の軟骨が磨耗してきて、階段や坂を下る際に体重の何倍もの荷重がか かって痛みがでるわけだ。私の場合も、体重増加と運動不足が原因であることは明白 で、次回までには何とか足を鍛えなくてはと思う。ともかく、妻の誘導が悪いと文句 を言いながら、滑ったり踏み外したりして苦渋のうちに山を降りてほっと一安心。そ れにつけても、ここで雨に降られなくて、ほんとうにお陰を頂いたと思う。この日 は、ほかに粉河寺、紀三井寺を巡拝して初日を終わる。
 二日めは、まず潮の岬へ。途中えんどう豆の花が沢山咲いていたようだ。潮の岬は 本州最南端、道理でほんとうに暖かい。かすかに見えた灯台は以外に小さく、太平洋 が黒く見えたのも不思議な感じであった。次に、弘法大師が大島に橋を架けさせよう としたという言い伝えにある橋杭の岩を見て、西国第一番札所、青岸渡寺へ。ここで 私は巡拝用の数珠を買うことにしていた。事前に住職に相談して、第一番札所がよか ろうとのことだった。梅の木の根の部分で作ったものがあったのでこれを求めたが、 住職によると梅は軽くて悪くないとのことで安心した。
 那智大社では境内に黒い石が敷き詰めてあったが、記念に二、三個頂いた。ここは 那智黒と言って碁石などに使われて有名だが今でも採れるのだろうか。碁石の白は素 材は蛤だが、これも今では南米から輸入されるという。妻も写経の際に使うと言って 那智石の文鎮を買った。次いで、日本の名漠、那智の滝へ。滝壷まで降りると、辺り は何ともいえぬ神々しい気配が漂う。山岳宗教にみられるように、大木、巨岩、滝な ど自然の事物を信仰の対象とする風習が古来からあちこちにあるのが、この滝の前に 立つと解るような気がしてくる。思わず手を合わせてしまいたくなる雰囲気がある。 不思議なものだ。山を下って、勝浦温泉の宿へ。渡船で島に渡ったところが今夜の 宿。小さな島全体がホテルと付属施設という感じである。
 三日目は、速玉大社参拝から始まる。ここには御神木の梛(なぎ)の大木があり沢 山の実が落ちていた。記念にいくつか拾った。この木は常緑高木で、初夏に黄色い花 が咲き、願い事を書いた紙を結びつけると、かなえられると言う。速玉大社を出る と、右に大峰山、左に高野山を見ながら熊野川沿いの道が続き、やがて本宮大社へ。 参拝後、延命水を汲む人が多かったようだ。熊野路は昔、狼が出たそうで人家もな く、辺りは山と川だけのようだ。上り詰めて下りになると、川は十津川となる。この 川に吊り橋がかかっていて、これを渡った人や途中で引き返した人の話が車中に流れ た。奈良県に入り、眼病治癒参りで知られる壷阪寺、それと岡寺を巡拝して桜井市の 宿へ。「青葉茂れる桜井の」で始まる楠木正成親子の別れの場面を唄った歌の桜井 を、ここと間違える人があるそうだが、あの桜井はたしか兵庫県にあったと思う
 四日目は、最初に番外の法起院、次に長谷寺へ。ここは牡丹の寺で有名だが、桜, 石楠花をはじめいろいろの花木が植えられていて、春に来るといずれかの花が咲いて いる筈だ。今度は春に来てみたいと妻は言う。五重の塔の近くに、大きな花梨の木が あり、沢山の実が落ちていたので、花梨酒を造るべくいくつか頂いた。花梨酒は喉の 痛みなどに効くから我が家ではよく造る。この種と速玉大社で拾った梛の種を蒔いて 芽が出るのを楽しみにしたい。山門を出ると、草餅を売る店が並び、ここが一番古い とか、うちが元祖がとか言って売り込みに忙しい。奈良漬けの店を見つけたが、いろ んな種類のものがあったので、いくつか買ってみた。巡拝ツアーでは、買い物も楽し みのひとつで、行く先々で皆時間を気にしながら品定めに忙しい。私もショッピング は嫌いではないので,あれこれと口を出して結構楽しんでいる。ここから、天理教の 信者が行き交い,教団の建物が見える天理の町を通って、興福寺の南円堂へ。ここは 何度か来たが、このお堂には今まで気が付かなかった。広い境内には小さな子供達が はしゃぎながら五重の塔の写生をしていた。かわいい声を聞きながらこの子達が、い つまでも純真さを失わないでほしいとねがいつつ奈良をあとにする。 あっと言う間 の四日間であったが、興福寺を除いてはすべて初めての場所であったし、観光スポッ トも色々組み入れてあり、大変満足のいく旅であった。三木インターで最後の買い 物、夕食にとタコめしを買ってバスに乗る。リュックは買い物で満タン。まるで買い 物ツアーのようだ。
 運転手も早く帰りたいのか、ビュンビュン飛ばして向島へ。


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